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コンプレックスの心理学:心の解放のために(「コンプレックス=劣等感」ではありません)

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
写真はイメージ:それぞれの心の問題がある(写真:アフロ)

■コンプレックスとは

コンプレックスって、普通は「劣等感」の意味で使われますね。でも、これは心理学におけるコンプレックスの一つ「劣等コンプレックス」のことです。

コンプレックスは、単に自分の欠点を感じることではないのです。

コンプレックス(complex)の本来の意味は、「複合体」です。シネコン(シネマ・コンプレックス)という言葉がありますが、これは一つの建物の中にいくつもの映画館がある映画館複合体の意味です。

心理学や精神医学では、コンプレックスとは感情や欲求や考え方などが複雑に絡み合った複合体のことを指します。心の「おでき」「腫瘍」のようなものです。精神分析学的には、このコンプレックスが無意識の中にあり、私たちの心や行動をチクチク刺すようなことをしているわけです。

だから、このコンプレックスを理解することで、私たちの心はもっと開放されていきます。

「劣等コンプレックス」も、単に私は走るのが遅いとか計算が苦手という感覚ではなく、走ったり計算したりする長年の経験の中で、様々な感情が入り混じって複雑に絡み合った自己否定の心になるわけです。

走るのが遅いから、もっと練習しようとか、計算が苦手だから検算しよう、電卓を使おうになれば良いのですが、劣等コンプレックスによって、私たちは生活全般にダメージを受けるのです。

■コンプレックスは「影のキャラクター」

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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