カウンセリングの土台「共感」とは:自殺も不登校も引きこもりもDVも、そんなの認められないと思う人へ
■カウンセリングは役に立つ
カウンセリングは、カウンセラーがカウンセリングルームで行うだけではありません。カウンセラーの名刺は持っていなくても、カウンセラー的な仕事をしている人はたくさんいます。
直接の仕事ではなくても、人間関係のトラブル解決に、カウンセリング的アプローチはとても役立ちます。
学校に行きたくないと言っている子に、「学校へ行け!」と言っても、解決しません。
死にたい人に命の大切さを説いても、役に立ちません。
妻を殴っている人を、それはドメスティックバイオレンスだと叱りつけても、たいていは解決しません。
女性を困らせているストーカーに罰を与えても、ますます逆切れする人もいます。
こんなときには、カウンセリング的な会話が役立ちます。
このような特別なことではなくても、日常的な会話の中でカウンセリング的な会話ができると、人間関係がきっと良くなります。
そしてそのカウンセリングの土台が、共感と傾聴です。
■傾聴とは
傾聴とは、耳を傾けて聞くことです。聞くだけですから簡単そうですが、実は簡単ではありません。
乱暴なこと、気の弱いこと、後ろ向きなこと、そんなことを相手が話してきたら、あなたはどうしますか。
そんなことではダメだと、説教したくなりませんか。
気が強ければ説教したくなり、気が弱ければ泣いて逃げたくなるかもしれません。
我慢して聞いていても、それでは相手が納得しません。目の前に座っていても、「私の話聞いてるの!」となってしまいます。
これではカウンセリング的な会話になりません。
共感しつつ、しっかり話を聞くことで、傾聴になり、心の癒しと人間関係の解決になるのです。
■共感とは/共感の大切さ
世の中には、善人がいます。人々に共感してもらいやすい人がいます。その人の正しい行為、かわいそうな身の上、けなげな努力。誰が聞いても、共感を呼び、応援したくなります。
そんな人の話はみんなが集まて来て、話を聞きたくなるでしょう。
でも、そうでない人もいます。周囲に共感してもらえない人たちです。
話を聞いてもらう、理解してもらうとはどういうことでしょうか。
ただ耳に入っているというのとは違います。ただ日本語を理解するとも違います。
たとえば、「私は苦労してきました」という言葉が聞こえてきて、その日本語の意味を理解したとしても、もしも私が「弱音を吐くな」とか「そんなの苦労のうちに入らない」などと思ってしまえば、相手は話を聞いてもらえた、わかってもらえたとは、思えないでしょう。
私が相手の話を聞いて、「ああ、ほんとうにご苦労されてきたんですね」と共感し、その私の思いが相手に伝わったとき、はじめて「話を聞いてもらえた」「わかってもらえた」と感じるのです。
そこから、心の癒しが始まります。
共感とは、一つ思いを共有することです。一緒に、問題解決へ向かっても歩みを始めます。
しかし、「死にたい」「学校行きたくない」「誰かを殴りたい」という人に対しても、「そうですよねえ」と共感すれば良いのでしょうか。
もちろん、死んでもらっては困ります。不登校も、暴力も、何とかしたいと思います。けれども、共感できないとカウンセリングにはなりません。
■あなたが人に共感できない理由:価値観の問題?
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