『令和』時代の『インターネット官報』のあり方 官報号外第1号
KNNポール神田です。
https://kanpou.npb.go.jp/20190501/20190501t00001/20190501t000010001f.html]
令和元年(2019年)5月1日の官報が発行された。
元号が変わると『号』がリセットされるので、記念すべき 新元号の『令和第1号』版だ。140円で販売されているので、新聞の『号外』よりも価値がでるのではないだろうか?
内容は、インターネット版でも確認することができる。
https://kanpou.npb.go.jp/20190501/20190501t00001/20190501t000010002f.html
譲位の儀式で、克明に何が行われたかが詳しく記載されているのだが、申し訳ない…まったく、読む気になれないのだ…。日本語で書かれてはいるが、ネット上のディスプレイで縦書き文字は非常に読みづらい…。スマートフォンではさらにだ…。しかもPDFで漢数字で元号のみで西暦がないので、元号をまたぐと検索も大変だ。もちろん、データベース化も面倒だ。せっかくの『改元』で新たな『1号』の幕開けだが、このインターネット版の官報を見れば、まるで明治時代にレイドバックしているような気がしてならない…。法律等はヨコ書きで解説されたものが多々あるが、官報は、いまだに『縦書き漢数字』ばかりである。インターネット時代の『官報』のあり方について改めて考えてみたい。
■そもそも『官報(かんぽう)』とは…
□政府が一般国民に知らせることを毎日刊行する発行物で『公告(こうこく)』が掲載される。
□『公告』とは、政府・公共団体が、ある事項を広く一般に知らせることにある。
□内閣府が行政機関の休日を除き毎日発行している。
□独立行政法人国立印刷局が、官報の編集、印刷及びインターネット配信を行うとともに、その普及に努め、国政上の重要事項を正確かつ確実に伝達・提供している。
□『法令の公布(こうふ)』
なんといっても、官報は、法律、政令、条約等の公布を国民に広く知らせる…いわば、官報で公布されてはじめて法律が施行されたととらえることができるほど重要な役割を担っている。
https://www.npb.go.jp/ja/books/kanpo.html
■『官報』は全国48か所にある官報販売所で一冊140円で販売されている
定期購読は1ヶ月1641円 部売り 140円 『官報』を毎日必要としている人は限られているかもしれないが、この販売方法は、今でも本当に必要なのだろうか?また、企業や会社などが官報に『法定公告』を出す場合には、1行あたり3524円という費用がかかる。官報は、一ヶ月以内であれば、インターネットでPDF形式で閲覧が可能。
■『官報』の検索は有料でしかも登録形式
インターネット版の官報は一ヶ月以内であれば無料で閲覧できる。
https://kanpou.npb.go.jp/index.html
一ヶ月以上前の官報も、日付と年度がわかれば遡ることができる。※西暦併記がほしい…
『過去の官報』
しかし、検索となると、有料でしかも登録制である。しかもネットで完結できない…。
新規の場合、記事検索は月額2160円の費用が発生する。しかも登録制である。
『官報情報検索サービス』
https://search.npb.go.jp/guide/introduce.html
官報の検索が『有料』や『登録制』という時点で、そもそもの発想がおかしい。PDFでなく横書きのテキスト検索にすればもっと軽量で安価になるだろう。その価格要素となる人員や、サーバのコストやプログラムなどをぜひ見直すべきだろう。すべてをコスト発想でサービスしているとしか考えられない。
■マッシュアップで『検索システム』を勝手に作ってしまった人がいる
『官報検索無料検索!』
国が作らないならば、自分で作ってしまおうという発想は大いにおもしろい。あくまでも公の情報なのだから、努力しない国側の問題かと思える。もちろん許可は得ている。普通、本業のサービスを提供している国立印刷局はヤバイと感じなければいけないはずだ。黙認するしかない時点で、『独立行政法人』としての品格をなしていない…。
『独立行政法人』は、「業務の質の向上や活性化、効率性の向上、自律的な運営、透明性の向上を図ることを目的とする制度」だからだ。
■『縦書き漢数字』が、時代にフィットしていないことをそろそろ認識しよう
国民がインターネットで、ダイレクトに『官報』を活用するためには、縦書きを、横書きにしたほうが利用しやすいし、タイトルは、
縦書きをわざわざ、インターネットでは、横書きで記している。PDFの本文も横書きを検討すべきだろう。漢数字もアラビア数字を採用し、元号と西暦を併記すべきだと思う。日々、発行される『官報』が変われば、この国の生産性に貢献することは間違いない。残念ながら、広く国民に周知するという努力やイノベーションのかけらも感じられないのだ。縦書きの伝統や元号標記の歴史を継承する文書ではなく、使ってナンボ、知らしめてナンボの『官報』なのである。
■独立行政法人国立印刷局の予算は『755億円』(平成31年/礼和元年)
官報の編集発行をおこなっているのが、独立行政法人国立印刷局であり、日本のお札やパスポートや切手などの印刷をすべて手がけている。事業計画による売り上げ予算は『755億円』となる。
https://www.npb.go.jp/ja/guide/uploads/keikaku31.pdf
■インターネットでは『官報』からアクセスし登録できる新規事業を!
キャッシュレス化が進めば、当然、貨幣印刷の需要が減る、ネットの普及でさらに切手印刷の売り上げは減る…当然、それにあわせて雇用の調整も必要になってくることだろう。何よりも、『官報』の毎日の印刷業務は残るがネット普及にあわせて発行部数は同様に減っていくことだろう。しかし、効率化と合理化により『官報』を見てから人々が起こすアクションの業務を考えれば、新規事業はいくつでも作ることができるだろう。
法人マイナンバーや個人マイナンバーによる入札システムから、官報からの、アクションを取りやすくするなどの、データ処理業務なども無限にある。セキュリティやプライバシーを担保したりする付加価値業務もいくらでもある。 手数料収入だけでも、企業が官報を見てから申請する各業務のワンストップ化を実現できれば、国の生産性そのものが上がる。この国の最大の問題は、効率の悪さをもとにマネタイズしている公益法人や各種団体が多すぎることだ。
単に『公告』を印刷するだけの業務だけではなく、独立行政法人国立印刷局には、国民と国の生産性を向上させるための技術革新がいくらでも可能なポジションにあるのではないだろうか?
■収支計画 (令和元年/平成31年/2019年)
■資金計画(令和元年/平成31年/2019年)
■関連コラム
■『国民の祝日』データをもっと真剣に考えてほしい これが政府の考える『オープンデータ』だ
■2022年まで日本人の1割にデジタルスキルを『グーグル』無償提供『Grow with Google』
■ネットからのNHK受信料徴収は、国民投票で経営委員を選ばせてからにしてほしい!