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ネットからのNHK受信料徴収は、国民投票で経営委員を選ばせてからにしてほしい!

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
(写真:アフロ)

KNNポール神田です!

・NHKの石原進経営委員長は(2016年09月)13日、将来的にテレビ放送をインターネットで同時に見られるようにする方針を示し、「公共放送を維持していくためには、ネット配信であっても何らかの受信料をいただく必要がある」と述べた。実現すれば、放送を受信できない世帯からも受信料を徴収することになる。

・同時送信を始める時期は明らかにしなかった。

・放送法では、受信契約を結ぶ義務があるのは「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」となっている。ネット送信は放送ではなく通信にあたるため、NHKがネットのみで番組を見る人から受信料を取るには法改正が必要になる。

・総務省幹部は「ネット同時送信は世界の流れ。負担の公平性を考えれば、ネット利用者にも一定の負担を求めるべきだ」と将来的な法改正に肯定的だ。

出典:「NHK、ネット配信でも受信料」 経営委員長が発言

高市総務大臣のワンセグ裁判での発言をレビューしてみたが、今度は石原進経営委員長の言葉を受けて考えてみた…。

NHKの受信料徴収には基本的に賛成である。しかし…

筆者は、公共放送としてのNHKの受信料徴収には基本的に大賛成である。しかし、いくつか金額の妥当性から、公共放送としてのあり方をもっと検討する時期に入っていると日々感じている…。

5分で圧縮できる要素の「ガッテン」における無意味な海外ロケの挿入や、「林修先生の見れば納得!ギジンカイメイ」のような膨大な再現ドラマへのカネのかけかた…。民放と違うのはCMがないことだけだ。

朝の情報番組の「おはようニッポン」の「まちかど情報室」でも、会社名はふせられながら、看板で推測できるようなアングルになったりしてきているんだから会社名も情報として告知すべきだと思う。せっかく紹介するのになぜ社名や製品名を伏せ字扱いなんだろう?ウェブサイトに行かなければ製品名や問合せ先がわからない。いや、ウェブで公開するんだから放送でもアナウンスすべきではないだろうか?わざわざ取材するほどのバイアスがかかっているんだから。

「コップのフチ子」さんがわざわざ「OL人形」と改名するほどだ。

「皆様のNHK」元NHKのアナウンサー堀潤氏はかく語りき

・NHKはよく「皆様のNHK」という表現を使いますが、そうではありません。視聴者が「私たちのNHK」という意識を持つことが重要なのです。

・その意味では視聴者にNHK会長のリコール権を付与するのは有効かもしれない。

・今は国が決める経営委員たちが会長を決める形になっており、二重に濾過され、国民の意見が反映しづらくなっています。

出典:堀潤氏が明かす「僕がNHKを辞めた本当の理由」

この意見は公共放送の本質をついている。NHKの主権が国民にあるという意識が重要だ。どこを向いて公共放送を作っているかという意見が必要だ。NHKの会長は国民が選ぶべきなのだ。そして、NHKの経営委員会は、3年に一度、参議院選挙と同じようにNHKの推薦から、自薦、他薦を問わず、自由に立候補していただき、最高裁判所の裁判官を選挙で決めるように経営委員を3年に一度半数入れ替えてみる。すると、NHKの組織は大きく自ら自浄せざるをえなくなり、改革も進むだろう。あの大きな省庁でも大臣がコロコロ変わっても対応できるんだからNHKでも3年に一度入れ替えてもまったく問題がないはずだ。むしろ、三権分立第4の権力としての「報道権」を加えるべきではないだろうか?とさえ筆者は考えている。

公共放送としての報道権で四権分立

報道権としてのNHK
報道権としてのNHK

現在、日本の電波の監督官庁は総務省である。電波の認可をもらって格安の破格値で仕入れて放送している放送局は総務省には逆らえない。むしろ、その体制がNHKが電波と通信(ネット)によるハイブリッドな放送を行うことにより大きく変革するチャンスでもある。 現在の三権分立の、人材を「選挙」というツールで選択することが国民にはできる。しかし、一度選んでしまった後は、解散する時期にしか効力は発揮できない。しかも、その時にはあの手この手で美辞麗句が並び奉られる。常に「私達のNHK」として、国民が三権分立を監視し、報道することができる権利を持つことによって、対等な立場を作ることができる。いっそ、この機会に「NHK」を「OurNHK」と改名すれば職員や制作スタッフや視聴者の意識が変わるだろう。そう、予算も努力をしていない無駄な税金を削減すれば、国民から徴収する必要さえ無くなってしまうのだ。ネットからも受信料金を取るというのならば、ここまでのヴィジョンを2025年を目標にすると明言してくれれば、喜んで受信料をしばしの間、払ってくれることだろう…。

NHKがネットで受信料金を取得する為のマイルストーン

平成27年度2015年事業計画
平成27年度2015年事業計画

【1】受信料の妥当性

現在公開されている大きな事業計画だけではなく、番組ごとの予算を経費をすべて公開すること。クラウドの会計システムをそっくりそのままネットで公開すれば良いだけだ。エストニア国のeガバメントに相談すれば、喜んでわけてもらえるだろう。

そして、国民がビデオリサーチ社が一社で調査している視聴率ではなく、実際にネットで見た番組を個々に評価し、いいね!ボタンを推したり番組をSNSで拡散できるようにする。当然ネットだから自由にその番組を視聴することができるようにしなければならない。そんな小さな予算で国民の支持が得られる番組づくりを考えると現在の編成は大きく改革するだろう。そう、再放送が自由化すれば、新番組で作らなければならないという呪縛は完全に無くなる。また、昨今のネットの見放題サービスの受信料を検討すべきだろう。500円~800円くらいが打倒なラインだろう。BS衛星放送がさらに毎月2000円以上もするなんて理解に苦しむ…。

【2】全アーカイブへの完全フリーアクセス

私達のNHK「OurNHK」を目標とするならば、有償の「NHKオンデマンド」の発想は完全に消失するだろう。NHKのアーカイブはすべて国民からの受信料金で制作されたものだ。政府の資金も若干は投入されているが、大多数は国民からの受信料金だ。だから、有償で利用させる発想そのものが飯櫃なのだ。そして、今後は、公共放送として、資料性の高いものはクリエイティブ・コモンズ契約で商業利用でないかぎり、自由に使えるようにして良い。もしくは商業利用できるコンテンツは事業費として稼いでくれれば良いのだ。むしろ、全アーカイブがWikipediaをクリックすれば、日本のコンテンツが世界の人に公開されていることによって、日本の文化コンテンツを世界へアピールするチャンスでもあるのだ。NHKの倉庫に眠っているフーテージや、埼玉でデジタル・アーカイブされているコンテンツを、ネットの世界に放流させることによって、日本への関心度を高め、インバウンド効果を生み出す国力となることだろう。世界の誰もが、リンクをクリックすればその番組アーカイブへアクセスできるのだ。NHKは見放題にすることによって、新たな制作費コストを削減でき、かつての名作アーカイブを解説してから放送する番組をもっと増やしてくれるだけでも楽しめるだろう。もちろん、フレッシュなニュース番組、討論番組にはチカラを入れるべきところだ。最近では昼間の帯の「バイキング」のほうが政治家が多く出演し芸人と遠慮のない議論を交わしているほどだ。

【3】肖像権フリーのタレント、役者

著作権は存在しているが、コンテンツの国民の利用の権利があるタレントや役者だけを使う。ジャニーズタレントにもそれであれば、出演をお願いする。国民の公共放送なのだから、その立ち位置を理解してもらうべきだ。むしろ、世界に進出するチャンスにつながるかもしれないから、芸能事務所はその条件を飲まざるを得ないだろう。

【4】英語放送、「NHK World」の放送化

何度もこのヤフー記事でも書いているが、NHKが完全24時間英語放送をやれば20年で日本国民は英語くらい理解できるようになる。小さな頃からいろんな世界の英語放送を視聴できる環境を作ることによって、わが日本のグローバル人材を学校の先生の教育に頼ることなく、1億人近くに英語放送を見てもらえる。また、海外の番組も日本語字幕ではなく英語字幕で放送されれば、語学勉強のための番組ではなくエンタメバラエティも世界とわたりあえる。日本の中学生が、カーダシアン姉妹instagramに自由に今週のネタについてコメントできるようになるだろう。米国の番組は難視視聴者のためのクローズドキャプションという字幕が義務づけられているので、最初から英語字幕は付いている。

ネットで受信料金を徴収するという意味の再考を!

NHKは公共放送として、法律で認められているという理由だけで、ネット視聴でも受信料金を課せられるという発想は時代錯誤もはなはだしい。まずは、イソップ童話の「北風と太陽」理論と一緒だ。ネットでならここまでできるという目標を立て、それを深く議論を重ね、いくらならば妥当なのかと国民にお伺いを立ててから、猶予を持って、徴収する意向を発表すべきだ。政府でさえ、消費税の増税はそこまで慎重なのだ。NHKも経営委員会を国民投票性にするだけで、大きく経営判断は変わる。ネット受信料請求はそこまでのNHKの覚悟を見せてから、ようやくハナシを聞く気になれるものだ!

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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