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2022年まで日本人の1割にデジタルスキルを『グーグル』無償提供『Grow with Google』

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
Grow with Google 出典:Google

KNNポール神田です。

□グーグルは(2019年)4月22日、デジタルスキル習得プログラム「Grow with Google」を発表した。2022年までに日本国内の1000万人に対して、デジタルスキルのトレーニングを提供する。30以上のプログラムやトレーニング、ツールを用意し、オンラインとオフラインのどちらでも受けられるようにするという。

出典:グーグル、日本の1000万人に「デジタルスキル」を指南--習得プログラムを無償提供へ

平井卓也 IT担当大臣も出席

■本来、日本国政府がやるべきようなプロジェクト

『2022年までに日本国内の1000万人にデジタルスキルを…』単純計算で、未就学児をのぞいた日本国民の1割にデジタルスキルを提供。しかも無償でというプロジェクトが、『Grow with Google』だ。

https://grow.google/intl/ALL_jp/

これを日本の政府がやろうとすると、まずは、企画と初期予算を獲得して、委員会を立ち上げ、検討する学識経験者や御用学者を集めて、2年かけてようやく、2022年にようやく始めることを発表するのだろう…。

政府が本格的に動き出す時には巨額の予算が見積もられる。そこには大手のベンダーやSIerがからみ標準的な費用が積み上げられ、受託することとなる。基本的に使い切ることが重要であり。費用対効果は、報告書レベルで成功すれば良い。しかし、それで本当に、これからの時代を支えるITに長けた人材が育成できるのだろうか?

一方、Googleの場合は、税金を一銭も投入することなく、デジタルスキルを得た人たちが、Googleを使い続けることによっての、『顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)』をあげてくれることを期待している。…とはいえ、Googleが直接ユーザーからお金をとるのではなく、ユーザーが創造したものに対して、フィットした広告主を連れてくることによって、間接的な『LTV』を生み出す。Googleの狙いは、生涯にわたり、Googleを使い続けてくれれば良いのだ。

■Googleが提供する5つのコース

なんといっても、Googleは以前から、このようなトレーニングセットを提供し続けてきている。しかし、英語圏対象が多かったのでほとんどが英語だった。それが、今回、日本語化されたサービスが増え、今回、『Grow with Google』として、日本語でまとめて提供された。個々バラバラにあったサービスを、5つの属性に集約・分類し、提供する。

これは非常にわかりやすくなったと思う。個人、ビジネス、学生・教育、スタートアップ、デベロッパーの5コースだ。

■表はGoogle しかし、中身はアウトソーシング

たとえば…学生・教育で、見てみると… AIトレーニングのコースがある。『https://www.udemy.com/google-jp-ai/ はじめてのAI』をクリックしてみると、そこは udemy.com のコンテンツとなっている。

https://www.udemy.com/google-jp-ai/

そう、Udemy.comは知識を販売できるプラットフォームで手数料30%で売買できるサイトだ。つまりGoogleはこのプラットフォームを利用してAIの初期段階の学習をプラットフォームを利用して提供している。udemyにとってもGoogleと一緒に展開するメリットが出てくる。

また、AIのトレーニングの中の『Scratch拡張AI ブロック』では実際に『Scratch』を使った小学生でも簡単にAIプログラミングできるコースがある。そこは、 techpark.co.jp のコンテンツなのだ。

http://www.techpark.jp/

そう、Googleが理想とする教育スキルやトレーニングスキルを補完できるIT企業とタッグを組んでコースを作っているのだ。この発想は、ファブレス化しているAppleと同じだ。自分たちがデザインするけれども、実際に作るのは完全アウトソーシング型だ。

「Grow with Google パートナー」の企業ロゴ 出典:Google
「Grow with Google パートナー」の企業ロゴ 出典:Google

パートナーシップもすべてオープンに公開されている。いや、それだけではなく、パートナーになりたい企業(企業・団体・個人事業主)はフォームから応募することもできる。この提供するだけでなく、グロースさせるパートナーまでオープンなのだ。

■何から何まで自前主義はコストと時間のムダ

一方、2020年から小学校でのプログラミングや英語が必修科目となるが、小学校の先生は頭が痛いことばかりだ。2017年に決められた『学習指導要領』 などでも、外国語活動やプログラミング体験が明記されている。

むしろ、教科書どおりにすべての人が同じことを学習するよりも、外国語活動やプログラミング体験はいろんな学習コースを生徒たちが自ら検索し、学習し、共有し、教えあったほうが、習ったこともない学校の先生のつまらない授業を聞くよりもモチベーションが上がるのではないだろうか?

Google方式のように、現在、日本で評価されているITサービスを政府が採用し、学校や職場に提供する。もちろんビジネスとして、見積もり方式ではなく、WinWin型のビジネスでの交渉が一番、政府に必要なのだ。相見積もりで審査で受託開発先を選ぶのではなく、すでにあるものを安く提供、もしくは無償で提供してもらうのだ。

予算がなくても、政府のお墨付きや『LTV』が見込めれば、無償提供したいテックベンチャーは山ほどいるだろう。まずは、お役人のIT人材の育成からスタートしなければならない。

ぜひ、行政サービスのIT化コースも『Grow with Google』に作って欲しい。

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ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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