むずかしすぎる!五輪大会ボランティア応募フォーム
KNNポール神田です。
いよいよ、東京五輪の大会ボランティア募集が開始となった。
『ブラックボランティア』などとネットでいくら言われようとも、ボランティアする側が納得していれば、それはブラックなボランティアではないと思う。母国の五輪のボランティアで得られる経験は、人生のうち、何度もあるものではないからだ。
ボクが1963年の東京五輪の聖火リレーを見たのは神戸市の兵庫区だった。たった2歳であったが、あの雨の日の聖火リレーは、しっかりと脳裏に焼き付いている。だからこそ、ボランティアでも五輪に参加したいと考えている。
11万人のボランティアが必要とされている
大会ボランティアが8万人(組織委員会)、そして、都市ボランティアが3万人(東京都)の募集が昨日(2018/09/26)より開始となった。それぞれの申し込みページが公開された。
大会ボランティア
https://tokyo2020.org/jp/special/volunteer/method/
都市ボランティア
http://www.city-volunteer.metro.tokyo.jp/jp/join/application/outline/index.html
応募フォームの登録には30分かかる…
早速、組織委員会が募集している『大会ボランティア』一番乗りを目指して登録してみた…。資料を取り寄せたり郵送をせずにWEBで申し込みができるなんてなんとすばらしいことだと思っていた。当然、いろいろな記入に30分かかるのも覚悟の上だ。
実はトラップだらけの応募フォームだった…
応募フォームは STEP1からSTEP6まである。そして、『アスタリスク*』があるところはすべて必須記入項目だ。しかし、このアスタリスクも認識しにくい…。
さっそく基本情報の『国籍』からだ。当然、『日本』はデフォルトであるものと思っていたが…。アからはじまり、ニにもなく、ようやく下のほうにまでいき、「北朝鮮」の上にようやく『日本』を見つけることができた。多様化している国籍といえども、日本はデフォルトにしておくべきだろう。しかし、こんなことは序の口の応募フォームであった…。そう、ウェブサイトでは表示している言語の言葉をデフォルト国にするなどの気の効くサービスがまだまだ少ないのだ。サービス精神のかけらもないのが、ウェブフォームの特徴だ。
誕生年を入力するのに57回もクリックさせられた!
STEP 1 の生年月日を入力するのに、2018年9月のカレンダーから入力しなければならない。これは最悪なパターンだった。
半角数字で『19611012』で打ち込めば8桁数字で簡単に入力できるものを、カレンダーの西暦を1クリックで一年づつ巻き戻して行かねばならない。ダイレクトに数字を打ち込もうとしても打ち込めない…。
来月で57歳になる筆者が、1961年まで遡るには、57回もクリックもクリックしてようやく『1961年10月12日』が入力できた…。
思わず、これは夏の五輪が、炎天下が予想されるので、高齢者のボランティア応募を制限するためのトラップなのか?かとも疑りたくなった…。だんだん嫌な予感がしてきた…。そう、この応募フォームの設計があまりにもド素人なのだ…。
精神的苦痛を強いられる応募フォーム
応募フォームの劣悪なところは、エラーを表示するが、そのエラーの箇所がわからないことである。しかもエラーメッセージが送信ボタンを押してからでないと表示されない。実際にどのSTEPのエラーなのかの『ヒント』さえ教えてくれない。
筆者のように、まずは、概要全部を埋めてあとからエラーを直せばよいと思って入力すると、このようなエラーで本文の文字さえ読めないというような状況にある。
なんだか20世紀の時代のウェブの応募フォームを見ているようだ。誤入力した時点で赤文字でエラーを返すなんてことも簡単にできるのに…。半角、全角とかガタガタ言わないだけまだましではあるが…。
それでも、どこがエラーなのかがわからないエラー信号は精神的な苦痛を強いられる。ヒューマンインタフェースを学んだことがない人の設計だ。
最後の最後になぜ?こんな仕様になっているのか?
何度も見直しながら、STEP1からSTEP6のエラーを最初からチェックし、つぶしていった。
どうでもいいところを埋めなければならない苦痛の嵐だ…。
スポーツ経験がある人だけが答えればよい所に、ない人は一番下の『なし』を選ばなければエラーとなる…。
さらにパラリンピックのスポーツ経験でさえも、いろんなスポーツの最下部の『なし』を選ばなければエラーだ。
パラリンピックのスポーツ経験をどれだけの人が経験しているのか?すべての競技の一番下部にある『なし』を必須項目で選ばなければならない。これは、いったいどんなバツゲームなのか?と真剣に思う。注意散漫なタイプは、ボランティアにしないという性格診断系の応募フォームなのか?
最後の最後に、どうしてもエラーが消えない項目があった…。
STEP1から文章を熟読していく…。もう、こうなると、意地でもボランティアの応募フォームをコンプリートしたくなっている。
きっと、この応募フォームで脱落した同志はきっと少なくないだろう。
初日の応募がどれだけかをインタビューされて組織委員会は、きっと青くなっていることだろう。
しかし、不幸中の幸いは、途中でもフォームを保存できるようにはなっている仕様だ。
なんとかこれで精神が折れずに応募に再度、たち向かえる。フォームを保存している数と登録できた数の乖離はこの応募フォームのダメさ加減の証拠だからログをとっておくように指導したい。
それでも…まだ登録できない…。そして、昨日の夜中に自宅で落ち着いて、やっと発見できたのがこの文章だ。
『○コード のエラー』は、連携大学やパートナー企業等でコードをお持ちの方はご記入ください。お持ちでない方は、『2020』をご記入ください。(半角)
まず、コードを持っている人の方が圧倒的に少ないはずなのに、必須項目のアスタリスクになっている。しかも持っていない人はなぜか『2020』を打たなければならない。半角も登場する。全角半角なんて、プログラム数行で処理できるのになぜ指示するのか?
このエラーに気づくまでが、ボランティアの応募フォームの予選大会のようであった。ようやく、無事さきほど、自分のボランティアのページを開設することができた。ボクの半日分を返してほしい…。
組織委員会は1日も早く、応募フォームを見直すべきだ!
多少、辛口な評価だが、8万人集めなければならない無料ボランティアの応募フォームだ。筆者の応募フォームに30分どころか、約半日費やしたことを考えると、1日も早く改善されなければならない。それでないとボランティアは集められない。
また、この応募フォームが、天下の広告代理店の電通さんの仕事だったとしたら始末書ものだろう。営業担当は頭を丸めてすぐに謝罪にいくべきだ。いや、そんな暇があればこのフォームのエラーを見直すべきだ!
基本的に応募フォームは、必要最小限で登録しやすくすべきなのだ。この応募フォームで熱意を失うボランティアが一人でも多く発生させてはいけない。そのためには、ヘルプのコールセンターから、チャットシステムまでふくめて対応すればよいのだ。困った時の電話番号も設置しなければならない。
むしろ、その段階からの、ボランティアがいてもよいくらいだ。ボランティアの仲間のリクルーティングをボランティアがやるのは利にかなっている。
最後に、まさかと思うが、この応募フォームも、どこかのボランティアが無料で作っていたのかは、組織委員会に念のために確認してみることにしてみたい…。