最悪の支持率に反論するトランプ大統領と沈黙する安倍総理
フーテン老人世直し録(314)
文月某日
米国のトランプ大統領の支持率は36%、不支持率は58%で共に第二次大戦後の歴代大統領の中で最悪を記録した。
20日に就任後半年を迎えることからABCテレビとワシントン・ポスト紙が行った世論調査によるもので、就任後100日の4月より支持、不支持はさらに悪化した。ABCテレビはオバマケアの見直しと大統領選挙を巡るロシア疑惑が原因と報じている。
これに対してトランプ大統領は「この時期の支持率40%近くは悪くない。ABCとワシントン・ポストは大統領選挙期間中、最も不正確だった」とツイッターに書き込んだ。権力者としてのファイティングポーズはいまだ健在である。
一方、米国追随政治を一貫してきた安倍総理は疑惑を抱える事でも足並みを揃えた。トランプ大統領がフリン補佐官を「しっぽ切り」にしコミーFBI長官を電撃解任してロシア疑惑の幕引きを図ろうとすると、こちらは森友学園の籠池前理事長を「しっぽ切り」にし関連資料を隠蔽して「森友・加計疑惑」の幕引きを図ろうとする。
しかし両者の対応は選挙によって異なる結果を迎えた。6月に行われた米下院の2つの補欠選挙で民主党候補は善戦したが共和党候補に敗れ議席を奪うことが出来なかった。大統領弾劾の発議には下院の過半数の賛成が必要で、現在過半数を持たない民主党がトランプを辞めさせるのに補欠選挙の敗北は手痛い結果を生んだ。
トランプが最悪の世論調査結果を見てもファイティングポーズを崩さずにいるのはこの選挙結果が寄与している。どのメディアも自分の大統領当選を予測できなかったという自信がトランプにはあり、その姿勢がまた反知性主義を好む米国人の心情をくすぐる。
一方、7月2日に行われた東京都議会議員選挙で自民党は歴史的惨敗を喫した。惨敗の原因は安倍総理の「お友達」のみを優遇する不透明な政治姿勢にある。小池都知事が率いる都民ファーストの会という受け皿が生まれたことで自民党の議席は公明党や共産党と変わらぬレベルに落ち込んだ。
その結果に日本国民の目から鱗が落ちた。旧民主党の体たらくを見て、変わりうる受け皿がないと思い安倍政権を消極的に支持し続けてきたが、これを続ける限り数々の疑惑は永久に晴れないことに思いが至った。
安倍総理が「しっぽ切り」した森友学園の籠池前理事長の証人喚問を見てその率直な物言いに多くの国民は「嘘をついているとは思えない」と感じ、また加計学園の問題で「あったものをなかったとは言えない」と勇気ある告発を行った前川前文科次官の発言にも堂々としたものを感じる。
しかし権力の側からはそうした素朴な感覚を否定する情報が絶えず流され、どう判断してよいか分からずにいたところ、安倍政権内部の慎重論が文科省内の資料再調査を促し、それがまた国民の疑惑を膨らませる中で都議選が告示されることになった。
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