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事件を隠ぺいするのが特捜部の役割

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(70)

卯月某日

先月28日に東京地検特捜部は猪瀬直樹前東京都知事を略式起訴し、徳洲会マネーにまつわる事件は幕引きになった。「大山鳴動ネズミ一匹」である。特捜部は事件を捜査したのではなく、事件を隠ぺいする役割を果たした。

猪瀬氏の場合、5000万円を現金で受け渡すという「裏金」でなければありえない行動を取ったにもかかわらず、特捜部は金が選挙に使われたかどうかだけを問題にし、選挙に使われていない事を理由に軽い処分で済ませた。

5000万円が選挙に使われていなかったという事は、選挙目的以外の「裏金」だったと考えるのが普通である。ところが特捜部はこの「裏金」をどうしても選挙目的の金にしたかった。そうしないと事件を隠ぺいする事が出来ないからである。

フーテンはこの金を猪瀬氏が都知事に就任した後で見返りを求める賄賂の前渡しと見ていた。だから猪瀬氏が一億円以上を要求したのに対し、徳田虎雄氏は5000万円の支払いを指示して全額を支払わなかった。見返りが確実になった段階で残りを支払うというのがこの手の話の常識だからである。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:11月24日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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