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氷川きよしさん、(少なくともKIINA商標登録については)旧事務所と合意

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
(写真:イメージマート)

氷川きよしさんの旧所属事務所(長良プロダクション)が氷川さんの愛称であるKIINAを商標登録出願し、それに対して特許庁から「公序良俗違反」(商標法4条1項7号)および「他人の著名な芸名を含む」(商標法4条1項8号)を理由とする拒絶理由(一種の暫定的拒絶です)が通知されていた件について過去に書いています(「氷川きよしさんは所属事務所によるKiinaの商標登録を阻止できるのか?」、「氷川きよしさんのKiina商標登録問題に重要な動き」、「氷川きよしさん旧事務所のKiina商標登録出願の意見書が公開されています」)。この拒絶理由通知に対する旧事務所側の応答(上申書)が11月1日付けで提出されていました。

ところで、この出願(商願2023-059093)ですが、出願時点では代理人を付けず事務所が直接出願していました。そのため、”Kiina”と”KIINA”の両方を出願するという無駄なことが行われたりしていました(英字の大文字と小文字の違いは実質同一と扱われますので、二重に出願する意味はほとんどありません)が、この拒絶理由の応答のために、新たに代理人を弁理士に委任しています(正直、非専門家がこの拒絶理由に応答することは相当困難だと思います)。

上申書では、氷川きよしさんと旧事務所間で独立問題で軋轢が生じていることはなく、独立を阻止するために商標登録出願をした「公序良俗違反」には当たらないことが証拠と共に詳述されており、そして、何よりも、「本願商標(KIINA)を本願出願人(長良プロダクション)の名義で商標登録出願を行うことを(氷川きよしさん本人が)承諾している承諾書」が提出されていることから、この出願はいずれ登録される可能性が高いと思います。なお、承諾書に加えて、独立に関する合意書などの様々な証拠が提出されていますが、これらの内容は非公開の請求が出されていますので、第三者が閲覧することはできません(ところで、もし、弁理士を代理人につけず、出願人が直接対応していたら非公開請求を忘れて大変なことになっていたかもしれないなと思ってしまいました。)

旧事務所が氷川きよしさんにどのような条件でKIINA商標の使用を許諾するのか、そもそも氷川きよしさんは今後もKIINAという芸名を使う意思があるのか、旧事務所と氷川きよしさんの関係がどうなっていくのか等については、芸能メディアにお任せしたく思いますが、少なくとも商標登録については合意が成立したことになります。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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