トルコ「無課金おじさん」の商標登録の現状について
パリ五輪で話題になったトルコの「無課金おじさん」ことユセフ・ディケッチ氏が来日して話題になっています(参照記事)。同氏のポーズがトルコにおいて商標登録出願された件については9月3日に記事を書いています(「”無課金おじさん”(本物)が例のポーズを商標登録出願」)。
その時点では、同氏のポーズと名前の写真の商標(下図参照)が出願されており審査中であることは明らかでしたが、誰による出願かは明らかではありませんでした。トルコの商標制度では、出願後すぐに出願公開は行われるものの、その時点では誰が出願人かは未公開ということのようです(出願公開を見てライセンスや譲渡等の交渉をしたくても誰と交渉していいのかわからなくて不便ではないかと思うのですが)。
さて、この機会にトルコ特許商標庁(TPTO)のウェブサイトを調べてみたところ、11月15日で登録査定が出ていました。この後3カ月間に第三者からの異議申立がなく、かつ、登録料が支払われれば無事登録となります。そして、この段階で出願人が誰かが明らかになりましたが、なんと、ユスフ・ディケッチ氏本人でした。第1類から第45類まで全類指定されているので登録料は結構な金額になると思いますが、射撃スポーツ団体などのスポンサーがいるのかもしれませんし、この後、そのような団体に権利を移転するのかもしれません。ディケッチ氏はトルコでは英雄扱いでしょうし、関係ない人による勝手出願や便乗グッズなども販売されていたようなので、トルコで防衛的に商標登録しておくことは賢明と言えるでしょう。なお、トルコ国外での出願は確認されていません。