人手不足でもラーメン店を多店舗展開できる秘密とは? 全国展開を目指す商業施設「ラーメンステーション」
今、飲食店業界において大きな問題になっているのが「人手不足」だ。飲食店.COMが2022年5月に行った調査では人手不足に悩んでいると答えた飲食店は67パーセントにのぼる。これはラーメン店でも然りである。
売上不振の問題だけではなく、「求人しても応募が来ない」「人が長続きしない」などの人手不足が原因で店を畳むケースも少なくない。特に多店舗展開しているお店における人手不足は深刻である。
美味しいラーメンを提供して評価され、売上が安定していても、人手不足が原因でなかなか多店舗展開に踏み切れないお店は数多い。
人がいなくても多店舗展開できる仕組みの誕生
その中で、ラーメン店の人手不足問題に一石を投じる企業が大阪にある。株式会社IOBIである。
地方創生のメディアの運営を中心に展開してきた株式会社IOBIは、2023年1月に大阪・新大阪駅近くの本社の一階に「ラーメンステーション いおびじょん 新大阪」をオープンした。
地方創生の流れから、地方の人に全国のご当地ラーメンを食べてもらいたいという思いで創業したという。
この「ラーメンステーション」は昼と夜で店舗が入れ替わるというコンセプト。昼は池袋の名店「麺屋Hulu-lu」、夜は大阪の人気店「らーめん 香澄」となる(さらに昼と夜のお店は2ヶ月おきに入れ替わる)。
昼と夜でラーメン店ごと入れ替わるが、実は従業員は同じスタッフで運営している。出店に際し、人材確保をIOBIが全て行うため、お店側は人手不足に悩むことなく新規出店を行うことができる。広告宣伝や店舗デザインに関することもIOBI側ですべて実施する。
お店側は、店舗で仕込んだスープなどの材料を配送すれば運営が可能になっている。
「ラーメン店のラーメン作り以外の部分で困っていることを解決しようと思って始めました。その中で、やはり雇用の問題が非常に大きいと感じました。
せっかく美味しいものを提供しているのに、人手不足で店舗展開できないというのはあまりにももったいない。 その“人”の部分を弊社で補うことで、店舗側は低いリスクで多店舗展開ができるのではないかと考えています」(代表取締役社長 石井智大氏)
商業施設型は全国展開を視野に
2023年4月1日には、静岡・浜松の「プレ葉ウォーク浜北」に商業施設型の「ラーメンステーション」の1号店がオープンする。ここは商業施設のレストラン区画を借り切り、ラーメン10店舗と餃子2店舗を誘致する。
ここもスタッフはすべてIOBIで手配し、お店側は材料の配送だけで出店できる。お店は1年契約で都度入れ替えていく予定だ。
「この商業施設型は、浜松を皮切りに全国展開していこうと考えています。
ラーメンイベントや百貨店の催事などは今までありましたが、ラーメン施設を全国展開するというのは史上初だと思います。日本でうまくいけば海外でもこのパッケージを広げられるので、海外展開も見据えて運営していきます」(石井氏)
IOBIでは今もラーメン店の経験者を社員として採用し、さらに教育のクオリティを上げている。ラーメン店のラーメン作り以外の課題をこのように解決していくことによって、まだまだ世界に向けて日本のラーメン文化が広がっていく可能性がありそうだ。
「ラーメンステーション浜松」
オープン日:4月1日(土)
所在地:〒434-0038 静岡県浜松市浜北区貴布祢1200 プレ葉ウォーク浜北1F
営業時間:11:00~21:00
出店店舗(本店所在地 東から順):麺屋 Hulu-lu、北海道らーめん みそ熊、熊本黒拉麺 清正、つけめん 京蔵、麺屋 くろ松、らうめん侍、麺’s、セイマル中華そば、らーめん香澄、らーめん 贔だしや、餃子の店 おけ以、堂山餃子 チャオズ
※写真は筆者による撮影
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