コロナ禍で急成長の冷凍食品!「大阪王将」イートアンドが掲げる今後のキーワードとは?
2023年3月7日(火)に開催された冷凍食品のグランプリ企画「FOODEX(フーデックス) フローズンオブフューチャー」において、株式会社イートアンドフーズの「大阪王将 極みの大粒肉餃子」が「新商品 惣菜部門」のグランプリを受賞した。
「FOODEX(フーデックス) フローズンオブフューチャー」はアジア最大級の食品・飲料総合展示会「FOODEX JAPAN」にて、一般消費者とバイヤー合計100名が選ぶ、冷凍食品のグランプリを発表する企画。「新商品 惣菜部門」や「新商品 スナック部門」、「新商品 スイーツ部門」など6つのカテゴリで入賞商品を決定し、表彰が行われた。
冷凍食品の中でも中華が特に伸長
冷凍食品の市場規模は2021年で6848億円、2022年には7033億円にまで上っている(インテージSCIデータ 平均購入規模調査より推計)。さらに2027年には7300億円規模まで上がると予測されている。
一般社団法人日本冷凍食品協会の「令和4年冷凍食品の利用状況 実態調査」によると、冷凍食品の利用頻度が1年前と比べて特に増えた層は、25~34歳のトレンドに敏感な世代と35~44歳の家庭を持つ方の多い世代だった。
カテゴリ別の伸長率を見ると、中華が105.0%(インテージSCIデータ 平均購入規模調査 2022年1~12月)と全体実績の102.7%を大きく上回って伸長している。
イートアンドでは主力商品の餃子に加えて、焼売の売上が特に増えたという。焼売はラインを増設して、“第三の柱”としての地位が確立した。
「コロナ禍で需要が伸びたことで、冷凍食品の美味しさが認知されたのだと思います。小売店での売り場も確実に拡大しています」(同社)
これからのトレンドは「プチ贅沢」と「経済性」
好調の動きの中で、イートアンドがこれからのトレンドとして着目したのが「プチ贅沢」と「経済性」という二つのキーワードだ。
「美味しいものにはお金をかけたい」「いつもよりちょっと良いお酒を買いたい」というちょっとした贅沢をしたい需要と、「まとめ買いで衝動買いを控えたい」「水光熱費を節約したい」というような節約需要の2つが並行していくイメージだ。この「メリハリ消費」にどう新商品をぶつけるかがカギとなる。
2023年3月には、本気の逸品「極み」シリーズが誕生した。
「FOODEX フローズンオブフューチャー」において「新商品 惣菜部門」のグランプリを受賞した「大阪王将 極みの大粒肉餃子」はその「極み」シリーズの第一弾。
通常の餃子の1.2倍のボリューム(30g)で牛:豚を2:8の割合で使用し、ギュッと詰まった肉感が特徴だ。グランプリの審査では、「肉感が他の冷凍餃子を圧倒している」「肉の味にコクを感じる」といった高評価が集まった。
「物価高などにより節約志向が強まっている中でも、息抜きやハレの時間を楽しんでほしいという想いを込めて開発した“プチ贅沢”な商品です。
この餃子は、五島列島近海の海水から作られた『矢堅目の塩』を使用しています。商品の開発を通じて、地域の生産者とのつながりも大切にしていきたいと思っています」(商品開発担当 長谷川俊樹氏)
さらに人気の「ぷるもち水餃子」に小籠包の技術を加えて作った「極みのもっちり厚皮肉汁爆弾餃子」も発売された。
そんな「プチ贅沢」商品とは逆に、おサイフにやさしい経済性の高い商品もラインナップした。
「なにわのジューシー焼売」は餡に鰹だしをしっかりきかせることで、タレとカラシをつけず原価を抑えて開発した。
さらにはコロナ禍での“大袋”冷凍餃子のストック需要から、「羽根つき餃子」の大袋版で50個入りの「羽根つきパーティー餃子」に加え、新たに36個入りの「羽根つきファミリー餃子」を発売。さらに「ぷるもち水餃子 特盛」は規格を50個から52個に変更して発売する。
イートアンドは、冷凍食品をはじめとする食品部門の他に、「大阪王将」などの外食部門を持っており、「外食」と「食品」を一体で考えている。
「外食が苦戦している中で、冷凍食品を伸ばしていくことによって、ブランド自体を押し上げ全体最適を図っていきたいと考えています。
自社工場の生産機能を基盤として、『外食』と『食品』を両輪で展開するイメージです。冷凍食品が盛り上がっていくことによって生産量が増え、工場の稼働率が向上します。全体のスケールメリットが出て好循環となり、外食部門にもいい影響が出ていきます。
常に出口を二つ持っておくということが大事だと考えています」(同社)
「プチ贅沢」と「経済性」の商品が二極化していくことにより、さらに冷凍食品の革新は続いていくだろう。コロナ禍で冷凍技術が一気に進化したことで、これからのさらなる発展が見えてきた。
※写真はイートアンドホールディングスから提供