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まんまとアメリカの罠に落ちた安倍政権

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(89)

文月某日

安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、戦後日本の安全保障政策は大転換を迎える事になった。そのメリットを最も享受するのはアメリカである。賛成派は日本も抑止力を高めてメリットがあると言うが、集団的自衛権を容認しないと抑止力にならないかのような言い方は、アメリカの脅しを真に受けた「平和ボケ」の論理だとフーテンは思う。

抑止力を高めるというのは、日本が集団的自衛権を認めて日米同盟を強化すれば、中国がおそれをなして軍拡路線を諦め、日米の言う事を聞くとでも言いたいようだ。誠におめでたい考えだがフーテンは全く逆だと思う。日米同盟の強化は中国に軍拡の口実を与え、日本も予算に占める軍事費の割合を増やさざるを得なくなる。そしてそこにアメリカの狙いはある

国家が軍事予算を拡大する理由は常に自国の存立を危うくする者から身を守るためである。他国を侵略するために軍事費を増やす理屈などどこの国でも通用しない。従って日米同盟強化によって中国が驚異を感じれば軍事費の拡大は国民から許容される。

中国の軍事費拡大をこれまでの日本は批判する立場にあった。しかしそれが日本の安全保障政策の転換のせいだと言われれば、これからは批判でなく対抗する道を選ばなければならない。つまり日本も予算に占める軍事費の割合を増やさざるを得なくなる。それをアメリカは狙っている。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:11月24日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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