これでは属国でなく奴隷国家の日本
フーテン老人世直し録(92)
文月某日
集団的自衛権を巡る国会審議を聞いて、フーテンは日本がアメリカの属国というより奴隷国家になるなと思った。日本が武力行使を行う要件について、安倍政権は日米同盟が毀損する恐れがある場合を考えている事が明らかになったからである。
アメリカとの同盟関係がぎくしゃくすれば、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されると安倍政権は考えているのである。それなら日本はアメリカの機嫌を損なう訳にはいかなくなり、武力行使の主体的判断を放棄せざるを得なくなる。
かつての岸政権が「基地の提供」というエサを与え、米軍を「番犬」として飼いならし、日本を守らせようとした構図とはまるで真逆の世界が現出する。番犬の命令で日本は動かされ、かつて三島由紀夫が絶賛した沼正三の『家畜人ヤプー』の世界が現実になる。
『家畜人ヤプー』の中で日本人は、白人に奉仕する家畜に改造され、飼いならされて奉仕の喜びを感じるマゾヒズムの世界に陥っていくが、日米同盟を「死活的に重要」と安倍政権が言う意味は、それがなくなれば日本は死んでしまうと言う訳だから、まさにマゾヒズムの世界である。
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