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これでは属国でなく奴隷国家の日本

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(92)

文月某日

集団的自衛権を巡る国会審議を聞いて、フーテンは日本がアメリカの属国というより奴隷国家になるなと思った。日本が武力行使を行う要件について、安倍政権は日米同盟が毀損する恐れがある場合を考えている事が明らかになったからである。

アメリカとの同盟関係がぎくしゃくすれば、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されると安倍政権は考えているのである。それなら日本はアメリカの機嫌を損なう訳にはいかなくなり、武力行使の主体的判断を放棄せざるを得なくなる。

かつての岸政権が「基地の提供」というエサを与え、米軍を「番犬」として飼いならし、日本を守らせようとした構図とはまるで真逆の世界が現出する。番犬の命令で日本は動かされ、かつて三島由紀夫が絶賛した沼正三の『家畜人ヤプー』の世界が現実になる。

『家畜人ヤプー』の中で日本人は、白人に奉仕する家畜に改造され、飼いならされて奉仕の喜びを感じるマゾヒズムの世界に陥っていくが、日米同盟を「死活的に重要」と安倍政権が言う意味は、それがなくなれば日本は死んでしまうと言う訳だから、まさにマゾヒズムの世界である。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:11月24日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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