就活の一部と化したインターン。早期内々定者の半数がインターン経由とのデータも
あと10日ほどで6月になり、現3年生向けのインターン情報サイトが次々とグランドオープンする時期となった。
一方で現在就活中の19卒生への調査では、早期内々定者の半数がインターンを経由している事が明らかになった。
【インターンをきっかけとした就職先決定の割合が高まる】
「内々定先のインターンシップに参加した割合は50.7%と前年より6.1pt増加」
…前述の通り、2019年4月のマイナビの調査により、上記のような事実が明らかになった。
つまり、4月時点で内々定を獲得した学生(以下「早期内々定者と呼ぶ」)の半分以上が内々定先のインターンに参加しているということになる。
インターンが選考に直結しているかどうかは企業の方針にも依る。
しかし今回の調査結果を見る限り、インターンを通じて採用広報解禁前から企業と学生が接触していることは確実に内々定につながっているという事が伺える。
選考の中にインターンが含まれているケースもあれば、インターンを通じてその企業への志望度が上がるという側面も大きい。
4〜5年前と比較して就活におけるインターンの重要性は増しており、こうなってくると企業も学生も無視しづらいものになってきている。
昨年時点で、インターンを実施する企業の増加についてはこのような記事を書いた。
今年はさらにインターン実施企業も増えるだろう。
「インターンは就活の一部」。もはやそう捉えてしまった方が実情には則している。
これを読んでいる大学3年生の中は「夏インターンってやらなきゃいけないものなの?」と考えている最中かもしれない。
もちろん必須というわけではなく、秋や冬に開催されるインターンもあるのだが、上記のようなデータがある事は頭の片隅に置いておいてもらいたい。
【人事担当の負担も増加】
インターンは本来就業体験が主目的のはずだったが、現在のインターンシップは就職活動で自社を選んでもらうための「囲い込み」として実施されている色合いが濃い。
これは決して悪いことではないが、就活開始は実質的に前倒しになってしまっていると言えるだろう。
参加する学生はもちろんのこと、インターンを企画する人事担当者側の負担も大きい。
特に採用に力を入れている会社においては面と向かって学生と人事がコミュニケーションを取る機会も多いからだ。
内定者のフォローとインターンの実施を並行して行う事が当たり前になっており、それらを同じ人事担当者が兼務している企業も少なくない。
次年度のインターンの準備をしなければいけないから、上の学年の学生の採用を早く終わらせたいという人事担当もいる。
内々定を出す時期が早い理由には、他社に遅れを取らないためというのもあるが、出遅れると夏のインターンに響いてくるという事情も少なからずあるようだ。
「早くこの状態から抜け出したい…」と人事担当者から疲弊した声も聞こえてくるが、疲弊しているからと言ってインターンを止めるわけにもいかないという現状だ。
グループワークを実施するだけの1dayインターンでお茶を濁す企業もあるが、それでは他社との差別化ができない。
合宿形式、ビジコン形式、研修形式など、人気のインターンは質の高いプログラムを提供している。
そういったプログラムは参加学生の印象に残るだけでなく、参加学生の周囲に対するPR効果も期待できる。
そこまでやっている企業は確実にインターンで成果を出しているが、「インターンも含めて新卒採用担当の仕事」とされる事が多いため現場の負担はかなり高まってきているといえるだろう。
採用市場の加熱が落ち着くまで、企業も学生も慌ただしく採用活動/就職活動を続ける事になりそうだ。