集団的自衛権で日本の脆弱性を高める安倍総理
フーテン老人世直し録(85)
水無月某日
集団的自衛権を巡る自公協議の落としどころは予想された通りであった。集団的自衛権の行使を「厳しく限定」したように見せて公明党の顔を立て、しかしどのようにでも「解釈」できる余地を残して安倍総理の要求に応える。そう思っていたらその通りになった。
このようにどちらの顔も立て、曖昧さを残して決めるのを「政治決着」と言う。政治の世界ではよくある事で一概に悪いわけでもない。様々な利害関係者の要求を調整しようとすればそれ以外に方法がない場合もある。
しかし問題は国家の基本となる憲法問題でそれがなされようとしている事である。憲法を曖昧にすれば、国家の基本が曖昧になり、政府の「解釈」によって「国のゆくえ」が揺れ動く。外国に付け入る隙を与えるのはそうした国家である。そのような国家は分断され、脆弱さを増す可能性がある。
集団的自衛権の行使容認は、国民の中から湧きあがってきた声ではない。アメリカの要求に応えれば、これまで以上にアメリカがサービスを提供してくれると考える人たちの主張である。アメリカの要求に応えるとアメリカがこれまで以上のサービスを提供するのか、アメリカ政治を見てきたフーテンははなはだ疑問だが、安倍総理はそう信ずる一人らしい。
そのため年末に予定されている日米ガイドライン見直しのお土産として閣議決定に意欲を燃やしている。フーテンから見れば、アメリカという他国のために我が国の憲法を曖昧にし、国論が二分される状況を作り出す事が「国益」とはとても思えない。外国に付け入る隙を与えればむしろ「売国行為」である。
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