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国民に覚悟をさせずに戦争する罪深き国家

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(88)

水無月某日

自公両党は集団的自衛権を憲法9条に抵触しないと「解釈」して閣議決定への道を拓いた。「個別的自衛権に匹敵する縛り」をかけたからそのような「解釈」が出来るという理屈である。

ではこれまでの日本政府はなぜそのような縛りをかけて容認しなかったのであろうか。「個別的自衛権に匹敵する状況」には個別的自衛権を拡大解釈すれば良いと考えてきたからである。

なぜ集団的自衛権を縛る方向ではなく、個別的自衛権を拡大解釈する方向を選んできたか。属国ではあってもアメリカの言いなりになる事を避け日本の国益を優先しようとしたからである。

アメリカは第二次大戦後の日本を永久に属国にする事を考えた。そのため日本に自立する軍を持たせず、日本の領土内に基地を置いて米軍を駐留させ、周辺諸国と日本との間に領土紛争の種を埋め込んだ。

アメリカはアメリカの国益に沿って日本に様々な要求をしてくる。自衛隊の規模を拡大し、アメリカが行う戦争への協力を促してくる。そうした時にアメリカの要求をかわす手段としてアメリカが作った日本国憲法は歯止めの役割を果たしてきた。

冷戦の時代、自民党と社会党は水面下で手を握り、その絶妙な政治術にアメリカは翻弄された。吉田政権以来、日本はアメリカが要求をごり押しすれば社会主義政権が誕生するとアメリカを脅し、岸政権では米軍基地とその経費負担の見返りにアメリカに血を流す義務を負わせた。椎名悦三郎氏はアメリカを「番犬」と呼び、自民党はアメリカから選挙費用まで巻き上げた。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:11月24日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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