社内勉強会の進め方 ~営業力がアップする勉強会の準備から当日の3つのプロセスまで~【法人営業大学】
熱心に勉強する営業と、まるで勉強しない営業がいる。
B2C(個人向け)の営業は、どちらかというと熱心に勉強するだろう。感度を高め、情報収集し、知識を身につけ、鍛錬を続けないと、アポイントもとれないし、お客様と雑談もできない。相手に納得してもらう提案なんて、もってのほかだ。だからB2C営業は、日ごろのロープレを含め、学習習慣が身についている人が多い。
いっぽう法人営業は、あまり勉強をしない。日々の鍛錬を怠る。ロープレなど、ほとんどやったことがない、という営業もいるほどだ。歴史があり、技術力が高い企業の法人営業は「引き合い」対応が多いため顕著だ。
自主的に研修を受けろと言っても、「忙しいので」と言ってなかなか受講しない。本を読めと言っても、「時間がない」と言って読書しない。そんな営業はとても多い。
問題なのは、熱心に勉強しないまま課長や部長になった営業マネジャーが多くいることだ。マネジメントやリーダーシップ、組織論、経営論についても勉強しないので(やったとしても1年に1回や2回の研修を受ける程度)、当然身についていない。
そういったマネジャーが部下育成を担うのだから、部下たちも勉強する習慣がないのはあたりまえだろう。
そこで、そういった学習習慣のない営業の皆さんに社内勉強会の進め方について解説する。人的資本経営の時代だ。人材育成を本人任せにする会社は生き残ることはできない。
私たちコンサルティング会社も実施している、シンプルで効果的なやり方だ。ぜひ参考にしてもらいたい。
■シンプルに続けられる勉強会4つのポイント
効果的な社内勉強会するためには、必ず以下のポイントを押さえよう。
(1)シンプルな手順
(2)短時間
(3)定期開催
(4)全員参加
勉強会は継続することを目的にしよう。営業活動と同じだ。感情に左右されず、淡々と正しいことを続けるのだ。それ以上に大事なことはない。
そして会議のやり方と同じように、アウトプット主体で進めることが重要だ。
(1)事前にインプット
(2)当日にアウトプット
会議も勉強会も、事前準備なしで、当日にインプット主体で進めると、きわめて効率が悪くなる。もちろん効果的でもない。「事前にインプット」は鉄則だ。そのためにも全員の前で「当日にアウトプット」をルール化することが重要だ。
私たちはこの勉強会を「アウトプット会」と表現している。アウトプットするために参加することを意識させるための名称だ。
■「アウトプット会」の具体的な手順
それでは、事例を用いて具体的な手順を紹介しよう。手順はマッキンゼーの有名なフレームワーク「空雨傘」を活用する。
空を見て、雨が降りそうだから、傘をさしていこう
このフレーズを頭に入れながら、引用・気付き・宣言の順でアウトプットするのだ。
【頻度】1ヵ月に1回
【参加】メンバー全員
【時間】30分
【やり方】以下(1)~(5)を終わるまで続ける
(1)同じ教材(書籍)を使って事前にインプット
(2)3~4人のグループ分け
(3)1人ずつアウトプット(5分)
(4)「空・雨・傘」の順で
・空(引用)
・雨(気付き)
・傘(宣言)
(5)1人ずつフィードバック(1分)
このアウトプット会の効果は主に以下の3つだ。
(1)インプットの精度が上がる
(2)多様な視点が手に入る
(3)簡潔に話す訓練になる
本を読んだり、教材に触れさせたり、研修を受講させたりするのはいいが、そのインプットの精度を上げるには、事後のアウトプットが不可欠だ。しかも全員の前でアウトプットさせられるため多少の緊張感を覚える。自分のアウトプットに対して、全員からフィードバックを受けるため、中途半端な発表はできないと誰でも思うからだ。
(※そもそも営業である以上、簡潔にうまく言語化できないのはマズい)
同じ本を読んでも、教材に触れても、自分の先入観を通しているなら学びは薄い。全員で同じ教材をもとにするため、多様な視点が手に入ることも利点だ。
それでは、具体的な「空雨傘」のやり方を書いてみよう。
これは実際に私自身がアウトプット会で発表した内容だ。この程度のアウトプットでいいのである。完璧をめざすのではなく、学習習慣を身につけるために継続することを目的にして試してみてほしい。
■まとめ
最後に。書籍や教材はとても安価に手に入る時代だ。社内勉強会さえ定着させれば、コストもかけず、時間もかけず、効果的に学習習慣が身につく。学習習慣が身についている組織が本格的な研修を受けると、非常に吸収がはやい。
反対に、学習習慣がない組織にどれほど高額な研修を実施しても、あまり効果がない。日ごろの営業活動と同じで、淡々と継続できる人・組織をめざそう。安定して成果を出す最大の秘訣だ。
<参考記事>