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2021−22シーズンの「戦術の傾向」と肥大化するフットボール・ビジネス。

森田泰史スポーツライター
CL決勝で激突したマドリーとリヴァプール(写真:ロイター/アフロ)

フットボールは、巨大なビジネスになった。

それを悪いと言うつもりは、毛頭ない。だが余りに肥大化した巨体を、扱うのが難しくなってきているのは確かだ。

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■マドリーの優勝で閉幕

2021−22シーズン、31チームが、チャンピオンズリーグで失敗した。

優勝したのはレアル・マドリーだった。かつて、ガリー・リネカーは、「フットボールは11対11で戦うスポーツだ。そして、常にドイツが勝利する」と語った。それに照らし合わせれば、「チャンピオンズリーグは11対11で戦うコンペティションだ。そして、常にレアル・マドリーが勝利する」と言うこともできる。

ベスト16敗退に終わったパリ
ベスト16敗退に終わったパリ写真:ロイター/アフロ

いつからか、チャンピオンズリーグは、ビッグクラブにとって「勝たなければいけない大会」になった。

象徴的なのは、パリ・サンジェルマンだ。

2011年にカタール・スポーツ・インベストメンツ(QSI)の買収があり、ナセル・アル・ケライフィ会長が就任。カタール投資庁の子会社であるQSIがバックについて、実質上の国家クラブになった。

以降、補強に投じられた額は、13億ユーロ(約1820億円)を超える。ネイマール、キリアン・エムバペ、リオネル・メッシ、次々にスター選手がパリに到着した。

彼らに資金力があるのは間違いない。

だが模倣するだけでは、勝てない。ボブ・ディランの音楽を如何に真似ようと、どれだけの資金をつぎ込もうと、ボブ・デイランの声はボブ・ディランだけのものである。

■戦術の傾向

他方、2021−22シーズン、流行した戦術のトレンドとは、何だろうか?

第一に挙げられるのは「アイソレーション」だ。

リヴァプールのルイス・ディアス、バルセロナのウスマン・デンベレ、レアル・マドリーのヴィニシウス・ジュニオールらが、その戦術の鍵となった。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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