久保建英にソシエダ移籍の可能性。レアルの目算とバスクの雄の「三度目の正直」
放出オペレーションを、実行しなければいけない。
レアル・マドリーは今夏、チェルシーからアントニオ・リュディガーを、モナコからオウリエン・チュアメニを獲得した。リュディガーがフリートランスファーで加入した一方で、チュアメニ獲得に際しては移籍金固定額8000万ユーロ(約112億円)を支払っている。
フロレンティーノ・ペレス会長は先日、補強を一旦ストップする考えを示していた。マドリーが次にやるべきなのは、保有権を有する選手たちの去就を定めることだ。
そして、そのうちの一人が、久保建英である。
■マジョルカでのシーズンを終えて
久保は2021−22シーズン、マジョルカにレンタル加入していた。リーガエスパニョーラ27試合に出場して1得点1アシストを記録。マドリー復帰を決めるには、物足りない数字だった。
レンタル期間は1年だった。つまり、この夏、久保は保有権を有するマドリーに一度戻ることになる。だがマドリーにはヴィニシウス・ジュニオール、エデル・ミリトン、ロドリゴ・ゴエスといった選手がおり、E U圏外枠3枠は埋まっている。そのような状況で、久保やヘイニエル・ジェズスらは放出候補の筆頭になっている。
その久保に、現在、関心を寄せているのがレアル・ソシエダである。
ソシエダが久保に興味を抱くのは、これが初めてではない。2020年夏と2021年夏に、一時、両者は接近していた。
2020年夏。ソシエダは、マルティン・ウーデゴール(現アーセナル)のマドリーへのレンタルバックが決定して、その代役を探していた。そこで久保に白羽の矢が立てられた。最終的には、ラツィオとの獲得競争を制してダビド・シルバを確保。インサイドハーフのポジションの補強を敢行した。
2021年夏の段階では、守備陣とFWの補強が優先された。GKマシュー・ライアンと左サイドバックのディエゴ・リコ、そしてCFのアレクサンダー・セルロートが加入した。
しかしながら21−22シーズン、冬の移籍市場で、ソシエダはパリ・サンジェルマンからラフィーニャ・アルカンタラをレンタルで獲得した。インサイドハーフの駒が足りなかったのは明らかだった。
■気に入られる久保のプレースタイル
ソシエダでスポーツディレクターを務めるロベルト・オラベが久保を気に入っているのは確かだろう。
ソシエダは、【4−3−3】を基本布陣としている。
左利きの久保は、右ウィングあるいは右インサイドハーフに入る。ウーデゴール、D・シルバ、ラフィーニャと、近年のソシエダはいずれも左利きで攻撃に絡める選手を獲得してきた。久保に関しても、このプロフィールの選手であることからリストアップされている。
また、ソシエダはこの夏にアドナン・ジャヌザイが契約満了を迎えて退団する。左利きで突破力のあるアタッカーを右サイドに置きたいという考えがあり、そこに久保が合致する。
個人的には、私はソシエダでの久保の最適ポジションは右ウィングだとみている。インサイドハーフでは、守備での強度が足りない。試されることはあっても、レギュラー定着とはならないのではないか。ここで勝負するのは、分が悪いと考えている。
(全2003文字)
■レアル・ソシエダの特殊システム
もうひとつ、興味深いのは、ソシエダの【4−4−2】のシステムだ。
細かく言えば、【4−1−2−1−2】のシステムである。21−22シーズン、幾度か試行されていたシステムだ。
この布陣では、トップ下のポジションが生まれる。というより、そのポジションの選手を生かすため、周りの選手が動く。そこは、D・シルバが務めることが多かった。
2トップが、ワイドに開く。サイドに流れてボールを引き出す。すると、中央がポッカリと空く。
そのスペースをトップ下が使う、という特殊なシステムであり、やり方だ。
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