米が燃料給油車をウクライナに大量供与、攻勢準備か
4月4日、アメリカ国防総省は最新のウクライナ支援パッケージを発表しました。大統領の引き出し権限で5億ドルとUSAI(ウクライナ安全保障支援イニシアティブ)で21億ドルで合計26億ドル(約3400億円)です。
Biden Administration Announces Additional Security Assistance for Ukraine
36項目におよぶ供与兵器リストの中で一際目を引くのが燃料給油車の大量供与です。燃料を大量消費する機甲部隊による大規模攻勢が準備されていることが推察されます。
大統領の引き出し権限(Presidential Drawdown Authority:PDA) ※米軍保有分から即時引き渡し可能
- 61 heavy fuel tankers; ※重燃料給油車61両
USAI(Ukraine Security Assistance Initiative, ウクライナ安全保障支援イニシアティブ) ※新規製造しての引き渡しで時間が掛かる
- Eight heavy fuel tankers and 105 fuel trailers; ※重燃料給油車8両と燃料トレーラー105両
重燃料給油車(heavy fuel tanker)が具体的にどの車種を指すのか記載はありませんが、おそらくはオシュコシュ社の重高機動戦術トラック(HEMTT)シリーズのM978燃料給油トラックです。
M978は大きなタイヤを履いて悪路での走破性が高く、これが61両と8両で合わせて69両。それと悪路での走破性は低いものの安価な燃料トレーラーが105両。なお今回の4月4日の発表分以外でも、前回の3月20日発表のアメリカのウクライナ支援パッケージでも数は不記載ながら「Heavy fuel tankers(重燃料給油車)」が供与兵器のリストに書かれていたので、もっと多く供与されているものと思われます。
アメリカ国防総省4月4日発表分ウクライナ供与兵器全リスト
大統領の引き出し権限(Presidential Drawdown Authority:PDA)
- パトリオット防空システム用の追加弾薬
- HIMARS用の追加弾薬
- 155mmおよび105mm榴弾砲の弾薬
- 120mm迫撃砲の弾薬
- 120mmおよび105mm戦車砲の弾薬 ※欧州供与戦車用
- 25mm機関砲の弾薬 ※M2ブラッドレー歩兵戦闘車用
- TOW対戦車ミサイル
- 約400丁の擲弾発射機と20万発の弾薬
- 戦車回収車11両
- 重燃料給油車61両
- 戦車トランスポーター(牽引トラック10両とトレーラー10台)
- 車両の整備と修理を支援するための試験および診断機器
- 予備部品およびその他の野外機器
USAI(Ukraine Security Assistance Initiative, ウクライナ安全保障支援イニシアティブ)
- NASAMS防空システム用の追加弾薬
- 対ドローン用30mm機関砲搭載トラック9セット ※ノースロップ・グラマン「M-ACE」と推定
- 対ドローン用レーザー誘導ロケットシステム10セット ※L3ハリス「ヴァンパイア」と推定
- 空中監視レーダー3台
- 30mmおよび23mmの対空機関砲の弾薬 ※旧ソ連製
- 130mmおよび122mm砲の弾薬 ※旧ソ連製
- 122mmグラドのロケット弾 ※旧ソ連製
- ロケットランチャーと弾薬
- 120mmおよび81mm迫撃砲
- 120mm、81mm、60mmの迫撃砲の弾薬
- 120mm戦車砲の弾薬
- ジャベリン対戦車ミサイル
- 対戦車ロケット
- 精密誘導航空爆弾 ※GPS誘導航空爆弾「JDAM」と推定
- 約3600個の小型武器と2300万発を超える小型武器の弾薬 ※小銃や機関銃
- 戦車回収車7両
- 重燃料給油車8両と燃料トレーラー105両
- 戦車架橋車
- 物流支援車両4両
- 戦車トランスポーター(牽引トラック10両とトレーラー10台)
- 安全な通信機器
- SATCOM端末およびサービス ※衛星通信
- 訓練、整備、および維持のための資金