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ノルウェーの医師と医学生3200人が連名でセクハラ告発 #MeToo

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
8日、各紙ではメディアや医療業界でのセクハラの実態が特集される

ハッシュタグ「#守秘義務はなしで」を付けて、ノルウェーの医師と医学生3200人が実名を公表し、職場でのセクハラや性暴力を抗議する書簡を公開した。

書簡は8日のアフテンポステン紙で大きく掲載される。

多くの男性の同僚はいい人で、私たちに敬意をもって接してくれます。

しかし、一部の男性はいかがわしい行為をしても、その代償を支払うことはありません。彼らは大抵は、階級社会の上にいる医師やリーダーです。この力関係で、これまでは声をあげることは簡単ではありませんでした。

私たちはこの状況にストップと言いたい。個人レベル、制度レベルで変革を要求します。

出典:アフテンポステン紙

要求項目の中には、職場のスタッフや医学生たちに向けたセクハラ講座、職を失うことなく告発しやすいシステム、力関係が弱いとされるパートタイムを減らす雇用制度の改革などが含まれている。

3200人の中から20人が匿名でエピソードを公開した。

実体験の中には、研修中の若い女性をターゲットとする、年上で男性の上司の姿が浮かび上がってくる。

勇気を出して話したところで、「またか。彼はそういう人だから」、「それは残念でしたね」という反応で終わったケースも紹介された。

同じような話はこれまでの#MeToo告発でも寄せられている。

  • まだ医師として研修中だった頃、オペ室での出来事でした。年上の医師は、突然、血で染まった手で私の胸をつかみました。彼はオペ室で権力をもっていたので、私はこのことを誰にも言えず、恥の気持ちでいっぱいになりました。
  • 病院での研修中、年上の男性医師が私の後ろに静かに立ち、勃起したペニスを押し付けてきました。もともと女性に優しい部署とは言えなかったので、誰にも話すことができませんでした。
  • 病院での研究プロジェクトに携わっていた時、著名な男性教授が私の指導官となりました。彼は私と性的な関係をもちたいとメールをしてきて、私は上に報告しました。大学側は私に騒ぎ立てないようにアドバイスをしてきました。メディアに騒がれると個人的な負担も大きくなるだろうと諭され、上司たちに「裁判」という言葉を押し付けられました。私は職場を離れました。
  • 奨学金をもらっていた学生だった頃。60歳の研究所のリーダーが、夜私の家の前にいました。体中を触られ、ほぼレイプに近いと感じました。その場は逃れましたが、その後、奨学金は止められました。

アンニケン・ハウグリ労働・社会問題大臣は、VG紙に対してこう答える。

「#MeTooをきっかけに、セクハラがどれだけ大きな社会問題かが明らかになりました。一部の人は、女性たちの愚痴だと考えているようですが、違います。これは、至る所で深刻に広がった社会問題です」。

Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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