元女性首相もセクハラを体験。 #MeToo はもう十分だという男性へ、ノルウェーでの議論
スウェーデンの大学現場でのセクハラ・性被害を、2400人の女性らが連名で告発した。書簡は24日にSvenska Dagbladet紙で公開された。
記事には、教授に大きな胸があることを他の同僚の前で会議で話されたり、キスされたなどの出来事がつづられている。
「男性が全員セクハラするわけではない、もう十分」
同日、隣国ノルウェーでは、アフテンポステン紙に人気の男性コメンテーターであるヨアキム・ルンド氏が私見を寄稿した。「そろそろ、たくさんの男性たちがもういい加減にしろ、と思っていると思う」。「全ての男性たちが悪いわけではない、騒ぎすぎだ」という内容のものだった。
これに対して、バーテンダーとして働いてきたという女性のヨハンナ・ボユム氏が反論。「ルンドさん、あなたはもう、お腹が一杯? 私たちは、どう感じてきたと思う? 私たちは何世代にもわたり、ずっと悩んできたのよ」。
「これは魔女狩りではなく、カルチャーや各現場での対応の改善を訴えているもの。全ての男性がセクハラやレイプをするわけではないと、もちろん知っている」。
そのことは各紙で声をあげてきた女性たちが強調してきたが、ルンド氏のような反応は、SNSのコメント欄ではみられる一部の男性からの反応だ。
ルンド氏は国営放送局の夕方のニュース番組の議論で、クリステンセン国会議員(労働党、女性)にこのように反論される。
「多くの男性が、豚でもレイプ加害者ではないと、人々は知っています。なぜそれを何度も強調してもらいたいのか、私にはわかりません。全ての男性に該当するわけではないからと、この議論に蓋をする理由にはなりません」。
元首相がセクハラ体験を告白
この日の金曜日の夜は、ノルウェーとスウェーデンで人気のトークショー「Skavlan」に、ノルウェー初の女性首相となったグロ・ハーレム・ブルントラント元首相(労働党)がゲストとして登場。
同氏は、60年代にはじめてセクハラを体験したと告白した。医学の勉強を終え、研修先のラボラトリーで検査をしていた時、10歳年上の既婚男性が隣に近づいてきて、ブルントラント氏の耳元から首まで、手でそっとなでかけたという。
「どうしよう?と思いました。一切動かず、私は検査をし続けました。その反応を見てあきらめたのか、男性は退出しました。あれが、最初に体験したセクハラです」。
この会話をニュースとして報道したノルウェー国営放送局NRKの記事には、元首相を笑う男性・女性からの声と、その笑う姿勢に怒る女性からの声が殺到。
「グロを触った男性のほうがかわいそう」、「この#MeTooは、もう行き過ぎていると思うよ」、「どうしてじゃあ警察に行かなかったのかね」、「首を触ることは、セクハラじゃない!お前ら、もういい加減にしろ!」。
「彼女の体験に似たようなことを、たくさんの女性が経験している」、「このコメント欄をみていると、だから世の中にはセクハラや性暴力がいまだにあるのだな、と納得できる」、「彼女は望んでいなかったのだから、セクハラよ」。
#MeTooはもっと起きるべきだ
ノルウェー中道右派産業紙であるDNでは、現地で人気のある政治記者、シェーティル・アルスタハイム氏(男性)が、とある記事を掲載したので一部紹介する。
Text: Asaki Abumi