栄えるニュータウン、寂れるニュータウンの見極めが「本当に住みやすい街大賞」で明らかに
近年、「ニュータウン」への風当たりがキツめだ。
「最初はニュータウンだったかもしれないが、今はオールドタウンかゴーストタウン(シニアばかりの街とか、人の姿が少ない街という意味)」と言われたり、「限界集落」をもじって、“限界ニュータウン”と呼ぶケースもあるようだ。
「限界集落」は、住人が減り、集落としての機能を保つことがそろそろむずかしくなった場所という意味。そのような状況になっている「ニュータウン」が各地で探し出されている。
ところが、全国の住宅地を取材していると、ニュータウンと呼ばれる場所の活気が落ちず、近年人気が爆上がりしているところもある。
東北随一の大都市・仙台市を含む宮城県もその1つ。泉中央駅周辺や長町エリアなど、新旧のニュータウンがあり、いずれも人気が高い。その住宅価格が高くなった場所ではニュータウンエリアが拡大したり、隣接地で新たなニュータウンを開発する動きも出ている。
「ニュータウン」は、どこでもゴーストタウンになり、限界化すると思っている人には、ちょっと信じられない動きがあるわけだ。
なぜ、そのような違いが生じるのか。そして、栄えるニュータウンと寂れるニュータウンの差はどこにあるのか。
9月19日に発表された「本当に住みやすい街大賞in宮城」の結果とともに、解説したい。
宮城県で本当に住みやすい街は……
「本当に住みやすい街大賞in宮城」で大賞に輝いたのは「富沢(駅周辺)」。そして、2位は「泉中央(駅周辺)」だった。といっても、宮城県民以外は、どんな場所か想像もできないだろう。
いずれも、駅周辺にマンションはあるが、一戸建て住宅地が広がる場所。新しい住宅地の開発も進んでおり、仙台中心部の旧市街地に対し、新興の住宅地という意味でニュータウンと位置づけられる。
1位の富沢駅周辺は、人気ニュータウン・あすと長町の隣接地で、あすと長町から広がった住宅地の一画、という性格がある。
あすと長町は東日本大震災の前から開発が始まり、復興のシンボルともなった街区で、現在はニュータウンとして抜群の人気を誇る。その住宅価格が上昇したため、あすと長町に隣接し、住宅価格が抑えられた場所として、富沢の人気が上がっている。それが、今回「本当に住みやすい街大賞in宮城」で大賞に選ばれた大きな理由だ。
ちなみに、「本当に住みやすい街大賞」は、住宅ローンのフラット35を利用してマイホームを買った人が多い街から大賞が選ばれる。
富沢は、直近の1年で多くの人がマイホームを購入した場所のなかから、複数要素を加味して大賞に選ばれた。
続く2位の泉中央駅周辺には、以前からニュータウンがあり、それが拡大している場所。住宅地のなかには、駅からバスに乗るエリアもあるのだが、その人気が落ちない。
泉中央駅周辺は住宅開発の歴史が長いのだが、老人の街になっているわけではない。もともとの住人が高齢化し、家を手放すと、代わって若い子育て世帯が入居してくる。そうやって街の新陳代謝が実現し、ニュータウンの人気が上がり続けているわけだ。
「本当に住みやすい街大賞in宮城」では、他にも複数のニュータウンが10位までに入った。1位から10位のランキングは以下のとおりだ。
1位 富沢(仙台市地下鉄南北線)
2位 泉中央(仙台市地下鉄南北線)
3位 北四番丁(仙台市地下鉄南北線)
4位 荒井(仙台市地下鉄東西線)
5位 利府(JR東日本東北本線)
6位 八木山動物公園(仙台市地下鉄東西線)
7位 南仙台(JR東日本東北本線)
8位 大町西公園(仙台市地下鉄東西線)
9位 愛子(JR東日本仙山線)
10位 古川(JR東日本陸羽東線)
1位「富沢」、2位「泉中央」に加え、4位の「荒井」、6位の「八木山動物公園」もニュータウンと呼べる場所だ。
なぜ、宮城県では、ニュータウンの人気が高いのか。その理由から、栄えるニュータウンと寂れるニュータウンの違いがみえてくる。
人気が落ちないニュータウンには共通要素が
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