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政権交代を目指さない野党再編は子供の遊び

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(83)

水無月某日

日本維新の会が分裂し、橋本氏側が37人、石原氏側が23人になることが確定した。橋本氏側は結いの党との合流を、石原氏側は安倍政権との連携を目指すことになるらしい。

一強多弱と言われる中での野党の離合集散は、所詮はコップの中の嵐に過ぎず、政治の構造を変える動きにならない。そもそも日本維新の会と太陽の党とが合流した時、大衆の人気取りだけを考えたポピュリズムと見ていたので、フーテンには何の感慨もない。予想された事が予想された通りになったというだけの話である。

ところが4日夜に記者会見した石原慎太郎氏は「非常に痛快な思いだ。討ち入りの前夜に会合した赤穂浪士の思いのような気がする」と興奮気味に語っていた。それを見てなぜそれほど高揚するのか、不思議でならなかった。

予想より多くの数が集まったことを喜んだようだが、産経新聞の報道によれば「選挙で自民党が協力してくれる」と言って議員を口説いたという。それで参加者が増えたとするならそれほど喜ぶ話なのか、その政治センスがフーテンには理解できない。

石原氏はみんなの党にも働きかけてさらに人数を増やし、自民党に公明党との連立を考え直させるつもりだと言われている。しかし石原新党が公明党に代わるには参議院で5名以上の議員を増やす必要がある。また仮にそれが実現しても自民党が公明党との連立を見直すとは思えない。むしろ石原新党の存在で自公の関係がぎくしゃくし、選挙協力に悪影響が出かねないディメリットも出てくる。

石原氏は新党の理念を「自立、新保守、次世代」としたが、「新保守」とは文字通りアメリカの「ネオコン」を真似たのだろう。アメリカでは「ネオコン」がブッシュ大統領にアフガン、イラク戦争を促し、結果は惨憺たるものになった。また共和党内に「真の保守とは何か」を巡るイデオロギー対立をもたらし、共和党穏健派の足を引っ張って大統領選挙を不利にした。石原新党が自民党に接近すればするほど足を引っ張る可能性もある。

石原氏が興奮気味に新党の出発を宣言したその日、このところ音なしの構えでいた生活の党の小沢一郎代表が日本記者クラブで会見した。「どうなる野党再編~キーパーソンに聞く」という連続企画の締めくくりに登場したのである。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:11月24日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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