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0勝3敗からワールドシリーズ優勝は皆無。スウィープを免れたチームも少なく…。ヤンキースは0勝3敗

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイケル・コペック(ロサンゼルス・ドジャース)Oct 28, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・ドジャースは、ワールドシリーズの第1戦と第2戦に続き、第3戦も勝利を収めた。

 引き分けの試合をカウントせず、3勝0敗/0勝3敗となったワールドシリーズは、見落としがなければ、今年が25度目。それまでの24シリーズとも、3勝0敗のチームが優勝を飾っている。シリーズを制した24チーム中、4勝0敗が21チーム、4勝1敗が3チーム。4勝2敗と4勝3敗は皆無だ。

 今年のワールドシリーズも、この両パターンのどちらかなら、第4戦か第5戦に、ヤンキー・スタジアムでロサンゼルス・ドジャースの優勝となる。

 ドジャースは、1963年のワールドシリーズで、ヤンキースをスウィープしている。この時は、ドジャー・スタジアムで優勝を決め、MVPは、第1戦と第4戦に完投のサンディ・コーファックスが受賞した。

 今年の場合、ドジャースが優勝すれば、MVPは、フレディ・フリーマンだろう。第1戦も第2戦も第3戦も、ホームランを打っている。2021年の第5戦と第6戦を含め、史上最長タイのワールドシリーズ5試合連続ホームランだ。この記録については、4試合連続となったところで、こちらに書いた。

「フリーマンはワールドシリーズ4試合連続ホームラン。3年前の第5戦から継続中。史上最長は…」

 一方、ヤンキースが1勝もできなかったワールドシリーズは、1963年の他に2度ある。1922年が0勝4敗1分、1976年は0勝4敗。それぞれの相手は、ニューヨーク・ジャイアンツとシンシナティ・レッズだった。

 今年の3試合のスコアは、ヤンキースから見て、3対6、2対4、2対4だ。第1戦は、勝利まで1アウトに迫ったが、ネスター・コーテズがフリーマンにサヨナラ・グランドスラムを喫した。第2戦は、3点を追う9回表に1点を返し、さらに1死満塁としたが、アンソニー・ボルピーの三振とホゼ・トレビーノのセンター・フライで終了。第3戦は、9回裏の2死二塁からアレックス・バーデューゴがホームランを打ったものの、次のグレイバー・トーレスが遊撃ゴロに討ち取られた。

 ここからミラクルを起こせるかどうかはさておき、少なくとも最初の2試合は、ヤンキースが白星を挙げていてもおかしくなかった。

 ヤンキースは、第4戦の先発投手に、ルイス・ヒールを予定している。MLB.comのブライアン・ホックによると、第3戦の試合前に、アーロン・ブーン監督は、ゲリット・コールをショート・レストで第4戦に起用するつもりはない、と語ったという。第1戦に投げたコールは、第4戦に登板すると、中3日のショート・レストとなる。ドジャースは、第4戦をブルペン・ゲームとすると思われる。

 なお、0勝3敗から4連勝のワールドシリーズはないものの、2004年のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズでは、ボストン・レッドソックスが0勝3敗から4試合続けて勝ち、ワールドシリーズに進んでいる。この時、3勝0敗から4連敗を喫したのは、ヤンキースだ。

 現在、ドジャースで采配を振っているデーブ・ロバーツは、レッドソックスの選手として、このリーグ・チャンピオンシップ・シリーズに出場している。第4戦は、1点差の9回裏に、四球で出塁したイニングの先頭打者、ケビン・ミラーの代走に起用された。そして、初球に二盗を決め、ビル・ミラーのヒットで同点のホームを踏んだ。この年のレッドソックスは、ワールドシリーズでセントルイス・カーディナルスをスウィープした。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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