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クオリファイング・オファーを断って戻ってくる選手は少ない!? 近年の「QO却下→再契約」は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイク・トラウト(左)と大谷翔平 Mar 5, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフにクオリファイング・オファー(QO)を申し出られた13人のFAのうち、受け入れて残留するのは――正確に言えば、退団後に再契約――シンシナティ・レッズからFAになったニック・マルティネスだけのようだ。

 MLB.comのマーク・フェインサンドが、そう報じている。マルティネスは、すでにQOを受諾した。

 今オフのQOは1年2105万ドル(2025年)、返答期限は11月19日の午後4時(東部時間)だ。その仕組みと今オフの顔ぶれについては、こちらで書いた。

「テオがクオリファイング・オファーを受け入れてドジャースに残留する可能性は0%!?」

 過去5度のオフ、2019年のオフ~2023年のオフにQOを申し出られたFAは、51人を数える。受諾したのは7人だ。

 QOを断った44人のうち、11人は再契約を交わし、32人は他球団へ移った。あとの1人、2021年のオフにニューヨーク・メッツからFAとなったマイケル・コンフォート(現FA)は、1年1840万ドルのQOを断り、FAのままで2022年を過ごした後、2023年1月にサンフランシスコ・ジャイアンツと2年3600万ドル(2023~24年)の契約を交わした。

 コンフォートを除くと、同じ球団に戻った選手が25.6%(11/43)、違う球団に移籍した選手は74.4%(32/43)ということになる。

 昨オフは、アーロン・ノラコディ・ベリンジャーの2人が、それぞれ、フィラデルフィア・フィリーズとシカゴ・カブスに戻った。新たな球団と契約を交わしたのは、ロサンゼルス・エンジェルス→ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平ら5人だ。QOを受け入れた選手は、一人もいなかった。

 もっとも、これは、あくまでも過去の事例だ。過去5度のオフに、QO却下→再契約は4人に1人という割合も、低いとは言えない。例えば、10球団がそのFAを手に入れようと動いていた場合、球団の数からすると、再契約の可能性は10%という見方もできる。

 なお、2019年のオフ以降に、ドジャースからQOを申し出られたのは、今オフのテオスカー・ヘルナンデスが5人目だ。その前の4人は、2021年のオフと2022年のオフに2人ずつ。いずれもQOを断った後、コリー・シーガーはテキサス・レンジャーズと10年3億2500万ドル(2022~31年)、トレイ・ターナーはフィリーズと11年3億ドル(2023~33年)、タイラー・アンダーソンはエンジェルスと3年3900万ドル(2023~25年)の契約を交わし、クリス・テイラーは4年6000万ドル(2022~25年)の契約でドジャースへ戻った。

 シーガーとターナーは遊撃手、アンダーソンは先発投手、テイラーは内外野を守るユーティリティだ。ここ3シーズン(2022~24年)のテイラーは、出塁率.310とOPS.684ながら、FAになってQOを申し出られる前の3シーズン(2019~21年)は、出塁率.344とOPS.797だった。

 この4人のうち、テイラーとアンダーソンの契約の年平均額は、断ったQOよりも低い。2021年のオフのQOが1840万ドルだったのに対し、テイラーの年平均額は1500万ドル。2022年のオフのQOは1965万ドル、アンダーソンの年平均額は1300万ドルだ。けれども、1年契約と複数年契約の違いがあるので、QOを受け入れたほうがよかった、ということではない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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