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飲食店の公式LINEアカウントステップ配信徹底活用術

三ツ井創太郎飲食店コンサルティング(株)スリーウェルマネジメント代表
(筆者作成)

飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント代表コンサルタントの三ツ井創太郎です。

前回のコラムでは、これからの飲食店はデジタルアドレスを持たないと生き残れないについてお話をさせて頂きました。

今回のコラムでは、デジタルアドレスを活用した具体的な施策・成功事例に関してお話をさせて頂きます。

なお、今回の内容はYouTubeチャンネルでも解説していますので、よろしければ下記よりご覧下さい。

(筆者作成)

LINEを徹底活用して集客を自動化する方法

「リピートのお客様に来店してもらうためには、何が効果的なのか?」

こうしたご質問を数多く頂きます。私は、リピート集客の手法として「LINE公式アカウント」を活用した、来店客の会員化をおすすめしています。

LINEを活用するメリットは、利用者数の多さです。LINEの月間アクティブユーザー数は9,500万人を超えており、日本人の約80%が使っていることになります(出典:LINE株式会社マーケティングソリューションカンパニー)。つまりLINEを活用すれば、お客様に新たに自社のアプリ等をダウンロードしてもらう必要もありません。

LINE公式アカウントを活用するメリットのもうひとつに、お店からの配信に対するメッセージの開封率が他媒体に比べ高いという点があります。

支援先の平均値でお話をさせて頂くと、約80%のお客様がお店からのLINE配信メッセージを開封し、配信内容を閲覧しているという結果が出ています。メールマガジンの一般的な開封率が約15~40%、アプリのプッシュ通知の開封率が約0.1~5%というデータと比較すると、いかにLINE配信メッセージの開封率が高いかおわかり頂けるかと思います。

LINE会員獲得を成功させる仕組みづくり

(写真:Photo AC)
(写真:Photo AC)

そういった意味では、LINE公式アカウントによる集客効果を最大化させるためには、母数である会員数の最大化が重要なテーマになります。

支援先の焼肉店では、2万人のLINE会員獲得に成功しております。この焼肉店では、毎月のLINE会員獲得数の目標を明確に定めた上で、店舗スタッフが一丸となって取り組みを行っています。

このように結果につながる具体的な行動の目標を決めて、日々目標管理を行っていく経営管理手法のことを「KPIマネジメント」と言います。この焼肉店では、「月間の総客数に対して5%のLINE会員を獲得する」という明確なKPIを全店で設定しました。KPIとは「Key Performance Indicator」の略であり、日本語では「重要業績評価指標」という意味になります。

目標数値が達成できていない店舗に関しては、マネージャーが各店舗を訪問し、各スタッフに対してLINE会員獲得等のロールプレイングを実施、数値目標の達成に向けた取り組みをサポートしました。

LINE公式アカウントを導入している多くの飲食店では、ファーストオーダー時に会員登録へのご案内を実施しています。こちらの焼肉店ではそれだけではなく、ドリンクメニュー自体に「LINE会員価格」という、通常価格より割り引いた価格をわかりやすく表記することで、アルコールを飲まれるお客様の約半数のLINE会員獲得に成功しています。

つまり、通常価格とLINE会員価格を掲載することで、会員になるメリットを「見える化」しているのです。スタッフから会員登録の案内を受け、受動的にLINE会員になるのではなく、メリットをしっかりと「見える化」することでお客様自身が自主的にLINE会員登録を行う仕組みを構築しているのです。

別の居酒屋では、数種類から選べるお通しサービスを提供しています。各お通しの特徴などを説明する際に、スタッフから「LINEで友達追加して頂くと、今飲まれているドリンクが無料になりますよ!」と口頭でご案内をしています。

「選べるお通し」というオペレーションを追加し、商品説明を行うことで、自然と顧客接点が生まれ、さらにこの顧客接点をLINE会員獲得のチャンスにすることで、LINE会員獲得率が1.5倍に増加しました。

このように、店内でのLINE会員獲得をマンパワーだけに依存せず「仕組み化」することで、効率的に数多くの会員獲得を実現することが可能になります。

リピート客を劇的に増やす「ステップ配信」

(写真:Photo AC)
(写真:Photo AC)

LINEを上手に活用するには会員獲得数だけではなく、配信に関する様々な取り組みにも工夫が必要です。具体的な例をひとつあげると、LINEの「ステップ配信」があります。ステップ配信とは、LINE会員となったお客様に対して、事前に設定した内容・タイミング・期間でメッセージを自動で配信する機能です。

支援先の和食店では、既存のリピートのお客様の平均来店頻度を分析したところ、リピートのお客様は大体1.5ヵ月に1回ご来店することがわかりました。そこで、LINE公式アカウントのステップ配信機能を活用し、新規に友だち追加して頂いたお客様に対して、「次回お会計15%OFFクーポン」を初来店から10日後が経過した際に配信し、使用期限を初来店から1.5ヵ月以内に設定しました。さらに、その後も継続して来店促進のご案内をLINEにて配信する設定をしておきます。このステップ配信機能の活用により、リピート来店率が劇的に増加しました。

こうした自動配信機能等を活用した「集客の自動化」も、これからの飲食店経営においては重要な取り組みとなります。

LINE公式アカウントを既に店舗に導入されている、もしくは導入を検討されている店舗様はぜひ参考にしてみて下さい。

最後までお読み頂きありがとうございました。

(筆者作成)

<筆者プロフィール>

飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント

代表取締役 三ツ井創太郎

https://www.threewell.co/business

飲食店コンサルティング(株)スリーウェルマネジメント代表

㈳日本フードビジネス経営協会代表理事。飲食企業で店長、SV、事業統括の経験を経た後、2011年に東証一部上場のコンサル会社である(株)船井総合研究所に入社。飲食コンサルティング部門のリーダーとして数多くの飲食店支援を行う。2016年飲食店特化のコンサルティング会社(株)スリーウェルマネジメントを設立。「飲食店オーナー様に徹底的に親身なサポートを!」を理念に、個人店から大手チェーンまで日本全国の飲食店へ支援を行う傍ら、テレビのコメンテーターや行政、金融機関と一体となった飲食店支援も行う。著書「V字回復を実現する! あたらしい飲食店経営35の繁盛法則 」はアマゾンの外食本ランキングで1位を獲得。

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