アメリカ空軍、パイロットの身長制限を撤廃 小柄な女性にも道開く
アメリカ空軍は5月22日、パイロットになるための身長制限を撤廃したと発表した。これまで身長制限のためにパイロットへの道を閉ざされていた多くの女性にも門戸を開くことになる。
2015年から続いてきたアメリカ空軍の従来の方針では、免除がない限り、64インチ(約163センチ)から77インチ(約196センチ)の将兵のみがパイロットの養成訓練を受けることができた。しかし、アメリカ空軍は5月13日にこの方針を撤廃した。
アメリカ空軍によると、従来のこの方針では、20歳から29歳のアメリカ人女性の約44%が身長制限に引っ掛かってしまうという。というのも、20歳以上のアメリカ人女性の平均身長が63.8インチ(162センチ)であるからだ。
その一方、アメリカ人男性の平均身長は69.3インチ(176センチ)になっている。
今回の身長制限の撤廃により、より多くの女性がパイロットになることを志願し、男性偏重の現状からの脱却が進むことが期待されている。
アメリカ空軍の担当者は「今回の措置は、これまで私たちのチームへの参加資格がないと思っていたかもしれない女性と身長の低い人々にとって、特に大勝利だ」と述べている。
●空自のパイロットにも身長制限あり
防衛省航空幕僚監部(空幕)広報室によると、航空自衛隊では身長158センチ以上190センチ以下でないとパイロットにはなれないと定められている。日本の独立行政法人の航空大学校の入学試験でも、男女問わず、「身長158センチ以上」という受験資格の規定がある。
ただ、ある空自OBは筆者の取材に対し、「自衛隊に入隊できる人であれば(パイロットの)基準を満たしていると思います。身長制限でパイロットになれなかったという人は聞いたことがありません」「初の女性戦闘機パイロットも小柄です」と述べている。
自衛官不足や世のパイロット不足が指摘されるなか、自衛隊も近い将来、米空軍の後に続き、身長制限を撤廃するのかどうか、注目される。
(関連記事)