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気弱な上司を追い詰める「クラッシャー部下」6つの口ぐせ

横山信弘経営コラムニスト
私の部下はクラッシャー部下だ(写真:アフロ)

「いつもそんなことばっかり言ってますね」

「今回も、全然ダメだったじゃないですか」

あなたは部下に、このようなダメ出しをされていないだろうか? たまにならともかく、口ぐせのように

「みんな」

「いつも」

「だいたい」

「全部」

「すべて」

「全然」

といった表現を使って、部下から批判的な言葉を投げかけられては問題だ。放置しておくとエスカレートして、部下が上司を追い詰めてしまうケースもある。そんな部下を「クラッシャー部下」と呼ぶ。

クラッシャー部下は、自覚なく上司を追い込んでいくことが多い。表面上は従順で熱心そうに見えるのに、実は上司の足を引っ張っている。その結果、組織全体の雰囲気を悪くし、生産性を低下させてしまうのだ。

今回は、そのようなクラッシャー部下の6つの口ぐせについて解説する。上司の方々はもちろん、部下の立場の人にとっても、自分の言動を振り返るきっかけになるはずだ。ぜひ最後まで読んでもらいたい。

■クラッシャー部下はなぜ危険なのか?

クラッシャー部下はどのようにして上司や組織に悪影響を及ぼすのだろうか。

まずクラッシャー部下は上司の権威を徐々に弱めていく。「いつもそうですよね」「みんなそう言ってますよ」といった言葉で、上司の判断力や指導力を疑問視する。これにより、上司は自信を失い、決断力が鈍る。

次にクラッシャー部下は組織の空気を悪化させる。彼ら彼女らの批判的な態度は、他の部下たちにも伝染しやすい。「だいたい失敗してますよね」「全部おかしいですよ」といった否定的な発言が日常化すると、職場全体が前向きな姿勢を失っていく。

さらにクラッシャー部下は、上司と他の部下との関係性も悪化させる。上司がクラッシャー部下への対応に追われるあまり、他の部下たちとのコミュニケーションが疎かになっていく。またクラッシャー部下に対する上司の言動を見て、

「もっと言い返せばいいのに」

「リーダーシップを発揮してよ」

と、他の部下たちが不信感を抱くようになるのだ。

クラッシャー部下の危険性は、その影響が上司個人にとどまらない点にある。最悪なのは、その批判的な態度が「正しい」ものだと誤解され、組織全体のコミュニケーションそのものが歪んでしまう恐れがあることだ。

■気をつけるべき「批判的な言葉」とは?

クラッシャー部下の口ぐせとして、とりわけ注目すべきは「一般化」の表現だ。

「一般化」とは、ある事柄の一部分だけを見て全体を決めつけること。客観的なデータや信憑性のある根拠もなしに、強い先入観や知識不足に基づいて物事を決めつける。そのため相手には理不尽な印象を与えることだろう。

「一般化」の表現には、以下の6つが使われることが多い。

「みんな」

「いつも」

「だいたい」

「全部」

「すべて」

「全然」

したがってクラッシャー部下の口ぐせは、以下のような感じになる。

「いつもそうですよね」

「みんなそう言ってますよ」

「だいたい失敗してますよね」

「全部おかしいと思います」

「すべてうまくいかないですね」

「全然良くなりませんね」

こういった言い方は非論理的で、理不尽だ。一部分だけを見て、全体もそうだと決めつけるこのような表現は、させるべきではない。

■なぜ「一般化」は問題なのか?

「一般化」の表現は、事実を歪めて伝える危険性がある。例えば上司がたまに判断を間違うだけなのに「いつも判断ミスばかりですね」と部下から言われれば、それは事実と異なる。

飲み会の席で、一人の同僚が「課長って、少し頼りないな」と言っていただけで、

「もっとしっかりしてくださいよ。課長のこと頼りないって、みんな言ってるんですから」

このようにからかったりしたら、明らかに不誠実だ。

こうした「一般化」の表現は、一歩間違えれば上司の人格否定につながる。「だいたい失敗してますよね」と言われれば、上司は自分の能力全般を否定されたように感じるだろう。

■クラッシャー部下への対処法

では、クラッシャー部下にどう対応すべきか。まず大切なのは、冷静に事実を確認することだ。「みんなそう言ってますよ」と言われたら、「具体的に誰が何と言っているのか?」を尋ねよう。

「全然良くなりませんね」と言われたら、「具体的に、どの部分が良くならないと感じているのか?」「君はどうすれば良くなると思うか、聞かせてくれないか?」と質問しよう。単に受け止めるだけだと、心の傷は深くなっていくばかりだ。

クラッシャー部下の存在は、職場の雰囲気を悪化させ、生産性を低下させる。その特徴的な言動、特に「一般化」を含む批判的な言葉に注意が必要だ。

上司も部下も一方的な批判ではなく、互いの長所を認め合い、短所を補い合う関係性を築くことが重要だ。そうでないと、上司も部下も健全に仕事を続けることができなくなる。

<参考記事>

いつも水を差す発言をする組織の問題児――「消燃人」にはどう話すのか? どう対抗するのか?

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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