がんゲノム医療 ついに保険適用へ。
■6月1日より開始!
厚生労働省は中央社会保険医療協議会総会(第415回)の中で、患者一人一人に最適な治療法を探る目的で行う「がん遺伝子パネル検査」を、6月1日から公的医療保険の適用対象とすることを決めた。
(がん遺伝子パネル検査については
Yahoo!ニュース 個人IT 【詳細】なぜ「がん」で「ゲノム」を調べるのか?を参照 )
■がん遺伝子パネル検査とは?
がん発症に関連する遺伝子100種類以上を網羅的に検索し、どの遺伝子の変異によってがんが発症しているのかを、見つける検査であり、見つかった遺伝子の変異に対して、効果が期待できる薬剤などの情報を患者に提供する。
■対象となる検査システムは?費用は?
対象となる検査システムは、OncoGuide NCC オンコパネルシステム(シスメックス株式会社)と、FoundationOne CDxがんゲノムプロファイル(中外製薬株式会社)である。
いずれも公定価格はいずれも56万円にすることが決まった。
対象となる患者や検査を実施する施設に要件がある。
■【対象となる患者】
〇1.標準治療がない固形がん患者(小児がんや希少がんなど一部)または局所進行もしくは転移が認められ標準治療が終了となった固形がん患者(終了が見込まれる者を含む)。
〇2.全身状態及び臓器機能等から、本検査施行後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した患者 。
最適な薬が見つかる可能性がある一方、その薬剤が日本国内で承認されていない場合などもあり、治療につながるのは1~2割程度である。
■【検査実施施設】
●1.がんゲノム医療中核拠点病院、がんゲノム医療連携病院及びそれに準ずる医療機関として指定を受けている保険医療機関で実施。
(がんゲノム医療中核拠点病院については
Yahoo!ニュース 個人IT 速報!!!がんゲノム医療中核拠点病院、11施設が決定!を参照 )
●2.患者の同意を得て、がんゲノムプロファイルの解析により得られた遺伝子のシークエンスデータ、解析データ及び臨床情報等を、国立がん研究センターの「がんゲノム情報管理センター(C-CAT)」に提出すること。
集められたデータは大学や企業の研究促進に役立てる。
日本人に最適化されたゲノム医療を提供するためには、国民のゲノム情報が我が国で蓄積され、アカデミアや企業が迅速かつ公平・公正に学術研究棟に利活用できる体制整備に向けての取り組みである。
(詳細は厚生労働省 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)(第415回)議事次第を参照)
公的医療保険の適用となり、患者の負担が軽減された。しかし、対象となる患者は一部のがん患者となるため、今回の【対象となる患者】外のがん患者は、今後も自費のがんゲノムの検査を受けることとなる。
現在、将来の医療に役立てるためにがんゲノム解析結果を臨床研究に用いている医療機関も存在する。
(Yahoo!ニュース 個人IT 慶應義塾大学病院で始まるがん遺伝子検査「PleSSision-Rapid」 を参照)
今後、さらにがんゲノム医療は進歩していくことが期待される。
近い未来、より多くの患者とその患者が、がんゲノム医療の恩恵を受けられることを期待する。