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関東では見ごろの花に雪が積もるかも

饒村曜気象予報士
さくらに雪(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

今年初のまとまった雨

 令和2年(2020年)3月27日(金)は、前線を伴った低気圧が日本海から北日本を通過したことから、西日本を中心に、各地でまとまった雨が降りました。

 令和2年(2020年)になってから、初のまとまった雨です。

 日雨量は、長崎県壱岐市芦辺で159ミリと、これまでの3月の記録である100ミリを大幅に上回りました。

 また、山口県岩国市羅漢山で134ミリ、長崎県平戸市平戸で127.5ミリなど、従来の3月の記録を大幅に上回りました。

 さらに、夜になって沖縄県・与那国町では1時間に約100ミリという記録的な大雨を観測しました。

 28日(土)は、低気圧が通過し、寒気を南下させますので、北日本は晴れるところが多い見込みです。

 しかし、低気圧から伸びる前線に近い、東~西日本と南西諸島では雲が多く、雨の降る所がある見込みです。

 そして、29日(日)は、前線上に低気圧が発生しますので、東日本から西日本の太平洋側では雨が強まります(図1)。

図1 予想天気図(3月29日9時の予想)
図1 予想天気図(3月29日9時の予想)

 関東地方では、南下した寒気が残っていますので、山沿いを中心として雪として降る可能性があります。

日曜日の雪

 関東地方の残っている寒気は、寒気の目安となっている上空約1500メートルの気温では氷点下3度から0度位です(図2)。

図2 上空約1500メートルの気温分布(3月29日9時)
図2 上空約1500メートルの気温分布(3月29日9時)

 普通の状態では、地上付近では6度から9度位となり、雪となる温度ではありませんが、今回は、1500メートルより下の地表面付近に冷たい空気が入ると考えられています。

 このため、関東地方では、平野部も含めて広い範囲で雪の可能性があるという予報になっています(図3)。

図3 雨雪判別の予想図(3月29日9時)
図3 雨雪判別の予想図(3月29日9時)

 東京の3月29日(日)の最高気温の予報は、気象庁の予報で9度、ウェザーマップの予報で8度となっていますので、今までの暖かさはどこへいったかという「寒の戻り」です。

 寒さや雪に対して、注意が必要です。

 不要不急な外出を避けることは、雪に対する防災対策にも、新型コロナ対策にもなります。

さくらに雪

 令和2年(2020年)のさくらは、奄美・沖縄地方を除くと、一番早く開花したのは東京で、3月14日(土)でした。

 東京では3月14日(土)の「雨や雪が降っている寒い日に、さくらが開花」と言うことになっていますが、正確には、寒い時にさくらが咲いたのではなく、前日のさくらの観測後の高温で開花が進み、その後の気温急降下時に確認されたのです。

表 さくらの開花・満開予想日(ウェザーマップによる)
表 さくらの開花・満開予想日(ウェザーマップによる)

 その後、関東各地で開花が進み、東京・熊谷・前橋では既に満開となっており、見ごろとなっています(表)。

 新型コロナウィルスの影響で、通りながらさくらを眺めるのも遠慮という、例年とは違った花見風景ですが、花は例年通りに綺麗に咲いていますし、来年も例年通りに綺麗に咲くと思われます(写真)。

写真 東京都杉並区のさくら(3月26日に近所で著者撮影)
写真 東京都杉並区のさくら(3月26日に近所で著者撮影)

 このため、3月29日(日)に関東地方で雪が降るとなると、見頃のさくらの花に雪が積もるという冬と春のコラボレーションが見られるかもしれません。

 ただ、月は、月令が5ですので、ちょっと太めの三日月です。

 秋の代表の月も加えた、「雪・月・花」は、なかなか揃いません。

春は着実に

 東京では、3月29日(日)に気温が平年より大きく下がりますが、4月に入ると、気温はほぼ平年並みに推移する予報です(図4)。

図4 東京の最高気温と最低気温(3月28日~4月3日は気象庁、4月4~12日はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温(3月28日~4月3日は気象庁、4月4~12日はウェザーマップの予報)

 平年値そのものも、日ごとに上昇していますので、平年並みに推移するといっても、着実に春は進んでいます。

 東京で言えば、傘マークや黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)の令和元年度(2019年度)末から、晴れマークや白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)の令和2年度(2020年度)初めに変わりそうです(図5)。

図5 東京の16日先までの天気予報
図5 東京の16日先までの天気予報

 希望の多い新年度を暗示していることに期待です。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3、図5、表の出典:ウェザーマップ提供。

図4の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

タイトル画像の出典:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート

写真の出典:著者撮影

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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