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勤労感謝の日は西高東低の冬型の気圧配置 今年の東京都心の気温は平年より高めに推移し下がって平年並み

饒村曜気象予報士
勤労感謝の日の予想天気図(11月23日9時の予想)

「勤労感謝の日」と「新嘗祭(にいなめさい)」

 11月23日は、勤労をたっとび、生産を祝い、国民互いに感謝しあう国民の祝日、「勤労感謝の日」です。

 昭和23年(1948年)にできたものですが、昭和22年(1947年)以前の11月23日も、新嘗祭(にいなめさい)という祭日でした。

 皇室の祭祀の中で最も重要である新嘗祭は、天皇陛下が新穀を天神地祇に勧め、また、親しくこれを食するというもので、米作に感謝することがもととなっています。

 その新嘗祭は、明治6年(1873年)までは太陰暦11月の2回目の卯の日に行われていました。今年で言えば、12月1日が太陰暦の11月1日、12月17日が2回目の卯の日に当たりますので、明治6年までのルールであれば、新嘗祭は12月17日となります。

 明治6年に太陽暦が導入され、11月23日(日曜)が旧暦11月の2回目の卯の日にあたることから、この日に新嘗祭が行われました。

 しかし、いつも旧暦11月の2回目の卯の日で新嘗祭を行っていると、年によっては年末ギリギリどころか、新年になってからということもありえます。

 これでは祭祀の意味がないと考えたためか、明治7年以降は11月23日を新嘗祭とし、日付を固定しています。

晴れの特異日

 特定の天気が、その前後の日に比べて偶然とは思われない高い確率で現れる日を特異日といいます。

 ただ、特異日がなぜできるのかについては分かっていませんが、過去の統計から特異日を求めると、関東地方など太平洋側の地方では、11月3日の文化の日が「晴れの特異日」、11月23日の勤労感謝の日も「晴れの特異日」となります。

 この頃に、西高東低の冬型の気圧配置となって太平洋側の地方では晴れることが多いからと思われます。

 令和6年(2024年)11月23日の勤労感謝の日も、西高東低の冬型の気圧配置となる見込みです(タイトル画像)。

 西日本の日本海側の地方から北陸、北日本では曇り雨、山間部の一部で雪という天気ですが、関東地方など太平洋側の地方では「晴れの特異日」といわれている通りになりそうです(図1)。

図1 令和6年(2024年)11月23日朝の天気分布
図1 令和6年(2024年)11月23日朝の天気分布

 冬型の気圧配置となると、東京では晴れるものの、寒気が南下して寒くなりますが、今年の場合は、寒くなって平年並みです。

東京都心の最高気温と最低気温

 令和6年(2024年)の東京都心は、記録的に気温が高い年となりました。

 最高気温が25度以上の夏日を最初に観測したのは3月31日、最高気温が30度以上の真夏は6月12日、最高気温が35度以上の猛暑日を最初に観測したのは7月4日、最低気温が25度以上の熱帯夜を最初に観測したのは7月4日と、いずれも平年より早くなっています。

 そして、10月になっても暑い日が続き、猛暑日は20回、真夏日は83回、夏日は153回、熱帯夜は47回もありました(図2)。

図2 令和6年(2024年)8月以降の東京の最高気温と最低気温の推移(11月22日以降はウェザーマップの予報)
図2 令和6年(2024年)8月以降の東京の最高気温と最低気温の推移(11月22日以降はウェザーマップの予報)

 東京都心は、明治8年(1875年)6月5日以降の気象観測がありますが、東京都心の夏日日数は、昨年(2023年)の140日を抜いて歴代1位、猛暑日、真夏日はともに昨年に次ぐ歴代2位の記録となりました(表1)。

表1 東京の猛暑日、真夏日、夏日、熱帯夜の年間観測日数(令和5年(2023年)まで)
表1 東京の猛暑日、真夏日、夏日、熱帯夜の年間観測日数(令和5年(2023年)まで)

 また、東京都心は平成25年(2013年)10月12日を抜いて、最も遅い真夏日となりました(表2)。

表2 東京の早い真夏日と遅い真夏日(明治8年(1875年)6月~令和6年(2024年)10月19日)
表2 東京の早い真夏日と遅い真夏日(明治8年(1875年)6月~令和6年(2024年)10月19日)

 さらに、10月2日と4日、19日と、10月に3回目の真夏日となりましたが、10月に真夏日が3日以上というのは初めてのことです。

 春から夏、秋にかけての東京都心の最高気温と最低気温の推移をみると、ともに、ほとんどの日が平年より高くなっています。

 11月20日に最高気温は8.8度と年末並みの寒さとなりましたが、これ以外の日は、気温が下がって平年並みでした。

 勤労感謝の日も、下がって平年並みとなり、その後は平年より高くなりそうです。

全国の夏日と冬日の観測地点数

 全国の気温も東京と似た傾向を示しています。

 ただ、平年値より気温の高い日が続くといっても、季節が進むにつれて平年値そのものが低い値となっていますので、気温はどんどん低くなっています。

 そして、夏日が減り、冬日が増えています。

 10月中旬までは全国の半分は夏日という日はありましたが、11月21日は全国の9地点(気温を観測している914地点の約1パーセント)が夏日です(図3)。

図3 夏日と冬日の観測地点数の推移(11月22日以降は予想)
図3 夏日と冬日の観測地点数の推移(11月22日以降は予想)

 これに対し、10月中旬以降は冬日が増え始め、11月21日は180地点(約20パーセント)です。

 夏日と冬日の交代は暑い暑いといっているうちに、11月上旬以降は主役が夏日から冬日に変わっています。

 ウェザーマップの10日先までの天気予報によると、北日本と北陸は今週末に寒気が南下し雨や雪、来週初めは暖気が入って雨、来週末は再度寒気が南下して雨や雪の見込みです(図4)。

図4 各地の10日間予報(数字は最高気温)
図4 各地の10日間予報(数字は最高気温)

 そのほかの地方は晴れの日が多いものの、来週末は暖気が入って雨となるでしょう。

 このような周期変化をする天気で、12月に入る見込みです。

タイトル画像の出典:気象庁ホームページ。

図1、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

表1、表2の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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