駅舎内に郵便局を移転、来春より郵便局と駅の窓口業務を一体化へ 津軽線 油川駅(青森県青森市)
日本郵便東北支社とJR東日本盛岡支社は23日、青森市にある津軽線の油川(あぶらかわ)駅において、郵便局と駅の窓口業務一体化を行うことを発表した。
両社は近年、協定の元に郵便局と駅の一体化を進めており、内房線の江見駅(千葉県鴨川市)、安房勝山駅(千葉県安房郡鋸南町)、仙山線の作並駅(宮城県仙台市青葉区)で既に実施されている他、東北本線の蒲須坂駅(栃木県さくら市)で来年春から、外房線の鵜原駅(千葉県勝浦市)で来年夏からの実施が予定されている。
油川駅においては9月上旬から一体化に向けた整備を行い、令和7(2025)年春より駅舎内において「油川駅郵便局(仮称)」を開局する予定だ。
日本郵便とJR東日本との連携協定に基づく郵便局・駅の「一体運営」 ~油川駅で郵便局窓口業務と駅窓口業務の一体運営を実施します~(PDF)
油川駅は昭和26(1951)年12月5日、津軽線の青森~蟹田間開業に合わせて開業。ただし、駅設備は昭和15(1940)年に造られており、戦争による中断で戦後の開業まで放置されていたようだ。コンクリート造平屋建ての駅舎が長らく使われてきたが、平成29(2017)年6月6日に現在の2代目駅舎に建て替えられた。駅舎のデザインは、かつて油川にあった「イタリア館」という洋館をモデルにしており、アルミルーバーで「イワシ」を表現している。
イタリア館は大正時代にイタリア人のジュセップ・ファブリーが創業したイワシ缶詰工場で、油川のシンボルであったが、老朽化により平成30(2018)年5月に解体されている。
2代目駅舎内にも窓口が設けられたが、令和5(2023)年3月18日の無人化により、6年足らずで使われなくなってしまった。郵便局の移転にあたっては、この窓口設備を改装の上で再利用するものと思われる。ただし、油川駅郵便局の窓口において乗車券・定期券の発売は行われない予定で、係員が行う駅窓口業務は発車時刻や運賃の案内や遺失物預かりなど限定されたものとなる。とはいえ、利用客にとってみれば駅に「人がいる」というだけで、安心感はやはり違うだろう。
油川駅のホームは単式1面1線。津軽海峡線開業に合わせて造り直されているため、70年以上の歴史を持つ駅にしては造りが新しい。
駅周辺は青森市郊外の住宅街で、県立青森北高校の最寄り駅でもあることから、利用者数も津軽線内では起点の青森駅に次いで多い。駅舎も新しく、無人駅にしておくにはもったいないだけに、郵便局の移転で人の集まる場所となり、賑わうことを願うばかりだ。
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