韓国・釜山から北朝鮮・南浦まで貨物船が異例の直接運航 国連制裁違反か
貨物船1隻が韓国の釜山から北朝鮮の南浦まで異例の直航運航をし、国連安保理の北朝鮮制裁決議に違反した疑いが強いことがわかった。北朝鮮関連ニュースの有料会員制サイト「NK Pro」が報じた。この貨物船は北朝鮮が所有しているとみられる。
NK Proによると、貨物船「An Hai 6」(IMO船舶番号8355786)は5月18日に貨物を積んで韓国南部の釜山を出発。6月17日に北朝鮮西部の南浦に到着した。何を積んでいたかは明らかになっていない。
この貨物船は、釜山に立ち寄る前までは、Bi Xiang 66という別の船舶名を使用し、中国の港を往来していた。2022年1月に中国江蘇省泰州市で改修工事を受け、その後は南太平洋の島しょ国ニウエの国旗を掲げ、運航していた。
このAn Hai 6の所有者は、シンガポール拠点企業のNiue Ship Registryを通じて、船舶の国籍変更を行ったとされる。Niue Ship Registryは、ニウエでは船舶登録で船舶所有者や乗組員の国籍規制がないと自社のホームページでアピールしている。
●北朝鮮のフロント企業
国連・北朝鮮制裁委員会元委員の古川勝久氏は13日、筆者の取材に対し、「ニウエは、北朝鮮が過去に便宜置籍船の国籍として使用してきた国の1つだ。とりわけNiue Ship Registryは、北朝鮮が自らの船舶を外国船籍と偽るための企てに深く関わってきた」と指摘する。
さらに古川氏は、Niue Ship Registryがあるシンガポールの所在地は、北朝鮮関連のシンガポール企業Korasia Shipping & Tradingと同じ住所として登録されていると指摘する。
古川氏によると、このKorasiaの取締役は、アメリカ国務省から2015年7月23日に制裁を受けたシンガポール企業Senat Shipping and Trading Privateの取締役を兼務。国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネルは、Senat Shippingが北朝鮮の海上輸送ビジネスを担うフロント企業として活動してきたとの調査結果を明らかにしている。
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