油田開発か、自然保護か。ノルウェー・ロフォーテン諸島から写真レポ
ノルウェー北部では今後の油田開発において国の方針が議論され続けている。
キーワードは「LoVeSe」。複数の大政党が油田開発を承認したい、北部3か所の頭文字をとった言葉だ。ロフォーテン(Lofoten)、べステローレン(Vesteralen)、セーニャ(Senja )の地域を示す。どこも美しい自然と漁業で栄えた地域だ。
油田開発は気候変動の観点からも議論されるが、周辺の魚や自然への影響を心配する環境の観点での議論もある。
美しい自然が有名なロフォーテン諸島には世界中から観光客が訪れる。今年8月には筆者は2度訪問することがあったのだが、地元の漁師、市民、記者と話していると、油田開発は望まないという声が圧倒的に多かった。
油田開発議論は、「オイル(石油)にイエスかノーか」という表現で話される。
「ここの自然を見てみて。オイルを欲しいと思う?私たちはオイルがなくとも今まで通りに生きていける」。
「なぜ私たちが油田開発を望まないかは、ここの自然を見ればわかるだろう」ともよく言われた。
今回は写真でロフォーテンの風景をレポートしたい。
首都オスロにある国会では右派・左派ともに大政党は油田開発に賛成しており、小政党が反対している。
「さらなるオイルを」と望む国会議員らや石油会社。
自然や海の生態系を維持したいと主張する地元民や漁師らの声は、筆者はこれまで間接的に新聞やテレビで知るのみだった。
「オイルはいらないよ」。
実際に出会って話した現地の人々の当たり前のようなその反応は、遠く離れた首都にある国会での空気とは対照的だった。
Photo&Text: Asaki Abumi