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油田開発か、自然保護か。ノルウェー・ロフォーテン諸島から写真レポ

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
国を経済的に豊かにする油田だが地元民は環境破壊を心配する Photo:Abumi

ノルウェー北部では今後の油田開発において国の方針が議論され続けている。

キーワードは「LoVeSe」。複数の大政党が油田開発を承認したい、北部3か所の頭文字をとった言葉だ。ロフォーテン(Lofoten)、べステローレン(Vesteralen)、セーニャ(Senja )の地域を示す。どこも美しい自然と漁業で栄えた地域だ。

油田開発に反対する環境団体や市民ら。「北部にオイルはいらない」の文字。氷が溶けて困るホッキョクグマ Photo: Asaki Abumi
油田開発に反対する環境団体や市民ら。「北部にオイルはいらない」の文字。氷が溶けて困るホッキョクグマ Photo: Asaki Abumi

油田開発は気候変動の観点からも議論されるが、周辺の魚や自然への影響を心配する環境の観点での議論もある。

美しい自然が有名なロフォーテン諸島には世界中から観光客が訪れる。今年8月には筆者は2度訪問することがあったのだが、地元の漁師、市民、記者と話していると、油田開発は望まないという声が圧倒的に多かった。

Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi

油田開発議論は、「オイル(石油)にイエスかノーか」という表現で話される。

「ここの自然を見てみて。オイルを欲しいと思う?私たちはオイルがなくとも今まで通りに生きていける」。

「なぜ私たちが油田開発を望まないかは、ここの自然を見ればわかるだろう」ともよく言われた。

今回は写真でロフォーテンの風景をレポートしたい。

大きなクラゲが泳ぐ海 Photo: Asaki Abumi
大きなクラゲが泳ぐ海 Photo: Asaki Abumi
たくさんのヒツジがいるロフォーテン諸島 Photo: Asaki Abumi
たくさんのヒツジがいるロフォーテン諸島 Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi
タラ漁で有名な地域なので、タラ干し場が至る所に Photo: Asaki Abumi
タラ漁で有名な地域なので、タラ干し場が至る所に Photo: Asaki Abumi
漁師たちは海に出て魚をとる。観光客や地元民も漁に出ることが可能だ Photo: Asaki Abumi
漁師たちは海に出て魚をとる。観光客や地元民も漁に出ることが可能だ Photo: Asaki Abumi
筆者の友人であるヴォイレさんは、オスロからロフォーテンに引っ越した。この時は国政選挙直前だったため、政治の話で盛り上がる。「油田開発に反対の党に投票する」と決めていた Photo: Asaki Abumi
筆者の友人であるヴォイレさんは、オスロからロフォーテンに引っ越した。この時は国政選挙直前だったため、政治の話で盛り上がる。「油田開発に反対の党に投票する」と決めていた Photo: Asaki Abumi
筆者が出会った漁師らは「オイルなんかはいらない。魚が心配」と口を揃えた Photo: Asaki Abumi
筆者が出会った漁師らは「オイルなんかはいらない。魚が心配」と口を揃えた Photo: Asaki Abumi
5人で釣りをして3時間で50匹以上も釣れた Photo: Asaki Abumi
5人で釣りをして3時間で50匹以上も釣れた Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi
取材の途中で出会った家族は自分たちの船で魚釣りを終えた後だった。「ほら、みて!」と自慢する男の子。地元では魚はスーパーで買う必要がないほど海で十分に捕れる Photo: Asaki Abumi
取材の途中で出会った家族は自分たちの船で魚釣りを終えた後だった。「ほら、みて!」と自慢する男の子。地元では魚はスーパーで買う必要がないほど海で十分に捕れる Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi
北部では空や海の色が驚くほどコロコロと変わる。オスロでは撮影できないような風景にたくさん出合えた Photo: Asaki Abumi
北部では空や海の色が驚くほどコロコロと変わる。オスロでは撮影できないような風景にたくさん出合えた Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi
干しダラは地元のシンボルともいえる Photo: Asaki Abumi
干しダラは地元のシンボルともいえる Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi

首都オスロにある国会では右派・左派ともに大政党は油田開発に賛成しており、小政党が反対している。

「さらなるオイルを」と望む国会議員らや石油会社。

自然や海の生態系を維持したいと主張する地元民や漁師らの声は、筆者はこれまで間接的に新聞やテレビで知るのみだった。

「オイルはいらないよ」。

実際に出会って話した現地の人々の当たり前のようなその反応は、遠く離れた首都にある国会での空気とは対照的だった。

Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi

Photo&Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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