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未来については「世代」と「年代」の2つの補助線をヒントに考えよう

上山信一慶應大学名誉教授、経営コンサルタント
出典:Estonia Tool Box

ITなどの技術進歩の一方で、世界秩序はますます見えにくくなっている。加えて環境問題や異常気象が不安をかき立てる。2030年の世界はどうなるか、2050年を予測するといった未来予測の記事が増えている。

だが予測はなかなか当たらない。我々現代人は、現代の価値観の延長上の発想しかできないからだ。未来の社会は未来の人間が作る。今に生きる私たちには所詮は想像できない。とはいえ、予測の精度を高める方法がないわけではない。マーケティングの分野では「時代」「年代」「世代」の3要素を掛け合わせる手法が時折、用いられるが、これがヒントになる。

〇「時代」を作るのは「世代」と「年代」

人間にまつわる時間は3つある。「時代」「年代」「世代」である。「時代」とは絶対的な時間、つまり2022年8月とか1918年6月といった時間(時刻)の刻みだ。「未来」とはこの時間軸を延ばした先の時刻の総称だ。だが、未来を考える補助線が、あと2つある。それが「世代」と「年代」である。

「世代」とは例えば団塊の世代、Z世代などだ。これは生まれた時刻で決まる。団塊の世代は数が多い。団塊が結婚すると婚礼特需が生まれ、子どもが生まれると団塊ジュニアという大きな市場ができた。あるいは団塊の世代は競争にさらされてきたから論争を好む(?)とか、セクトを作りがちだといった指摘もある。

2つめは「年代」だ。これは年齢、つまり生まれた年から経過した年数で決まる。たとえば、世代を問わず人は50歳代になると和食や温泉を好むといった傾向が見られる。

〇未来は何が決め手になるか

さて、未来の社会の姿を決めるのは、その時代に中核となる世代人口の行動様式ではないか。だとしたら、その中核世代が社会を動かす頃、つまり40~50歳代になる頃にその世代に特有の行動様式、そしてその世代が達している年齢に合わせた行動様式の2つが合わさって時代が形づくられるのではないか。

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慶應大学名誉教授、経営コンサルタント

専門は戦略と改革。国交省(旧運輸省)、マッキンゼー(パートナー)を経て米ジョージタウン大学研究教授、慶應大学総合政策学部教授を歴任。平和堂、スターフライヤー等の社外取締役・監査役、北九州市及び京都市顧問を兼務。東京都・大阪府市・愛知県の3都府県顧問や新潟市都市政策研究所長を歴任。著書に『改革力』『大阪維新』『行政評価の時代』等。京大法、米プリンストン大学院修士卒。これまで世界119か国を旅した。大学院大学至善館特命教授。オンラインサロン「街の未来、日本の未来」主宰 https://lounge.dmm.com/detail/1745/。1957年大阪市生まれ。

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