高学歴なのに「話し方のキホン」を知らないマネジャーの罪 話にオチをつけない悪癖とは?
「有名大学出身なのに、当社のマネジャーとのコミュニケーショントラブルが絶えない」
ある経営者からこんな相談があった。会議中、組織の課題について語っている最中、
「新入社員や若者とのコミュニケーションの取り方がわからない」
「プロジェクトをどのように管理したらいいかわからない」
「どうやって付加価値を上げたらいいかわからない」
このように「わからない」と言ってしまうとのことだ。
「社長の私に向かって『わからない』と言ってしまう部長や課長をどう思いますか? 40歳、50歳にもなって。おかしいでしょ?」
これが社長の言い分である。
■コミュニケーションの基本構造がわかっていない
「わからないのなら、どうすればいいか調べたり、勉強したりすればいい。なぜやらないんだ?」
社長はかなりご立腹している様子。たしかに、
「最近の若者はいったい何を考えているか、よくわからない。この前も仕事が残っているのに残業せずさっさと帰ってしまったのです」
などと言われたら、社長は「愚痴を聞かされているのか?」と思うだろう。
「ここは問題解決する会議の場だ。世間話に付き合っている暇はない」
と。そこで私は「問題は話にオチをつけないこと」だと助言した。
文章の基本構造で考えればわかりやすい。
■論理的コミュニケーションをするには「話にオチをつける」
論理的コミュニケーションをするには、キチンと話し切ることが大事だ。「話にオチをつける」と言ったらいいか。
たとえば何か問題に直面した際、
「新入社員や若者とのコミュニケーションの取り方がわからない」
「プロジェクトをどのように管理したらいいかわからない」
「どうやって付加価値を上げたらいいかわからない」
ついついこんなことを言ってしまいがちだ。しかしこれだと論理的コミュニケーションにならない。「わからない」が話し手が出した結論――つまり「話のオチ」になってしまうからだ。
しかし「わからない」という箇所は本来「話のオチ」を補う文章であるはずだ。だから話をする際は、しっかりとオチをつけることが大事である。そのために、主文と副文の構造を理解しよう。
主文と副文の違いとは何か? 従属接続詞があるものが副文だ。わかりやすい例文を書いてみよう。
「昨日、休日出勤したので、今日は疲れている」
という文では、副文が「休日出勤した」で、主文が「今日は疲れている」である。従属接続詞は「~ので」。
論理的コミュニケーション力が低い人は、オチである主文を省略してしまうクセがある。なので、論理思考力が高い人が聞くと「だから何(So What)?」「オチは何だ?」と言いたくなる。
「新入社員や若者とのコミュニケーションの取り方がわからない」 → だから何だ? オチは?
「プロジェクトをどのように管理したらいいかわからない」 → だから何だ? オチは?
「どうやって付加価値を上げたらいいかわからない」 → だから何だ? オチは?
結局のところ副文だけ言って主文を省略している人は、「話し切るクセ」が足りないのである。
■「話にオチをつける」ために覚えたい4つの接続詞
たとえば「プロジェクトをどのように管理したらいいかわからない」を副文にするなら、主文の候補は、
「だから、プロジェクトの成果が出ないのです」
「にもかかわらず、どうして私が管理者なのですか?」
「なので、これからプロジェクト管理を勉強します」
このようになるはずだ。ここで大事なのは従属接続詞である。
従属接続詞は以下のようなレパートリーがある。論理的コミュニケーションするためにも、主要な接続詞は覚えておこう。
・時制(~のとき、~の間、~まで等)
・条件(もし~だったら、~しない限り等)
・理由(なぜなら、だから、なので等)
・譲歩(だが、にもかかわらず等)
話し切らない人、話にオチをつけない人は、この従属接続詞を語尾にもってきて話し終えてしまう。
「先日頼んだ仕事は、どうなってる?」
と聞かれて、
「来週の水曜日までには」
とだけ答える人がいる。これでは話のオチがない。
「来週の水曜日までには完成し、社長にお見せします」
と話し切るべきだ。他にも、
「あの商談はうまくいきそうか?」
と尋ねられ、
「先方の本部長が承諾してくれたら、と思っています」
と返したら、オチがない。承諾したら何なのだ?
「先方の本部長が承諾してくれたら、来月中旬には受注が決まります」
このように、常に「結論」や「主張」を言い切って話を終わるクセをつけよう。
「原因 → 結果」「論拠 → 主張」の基本構造で話そうと日ごろから意識すれば解決する。
漫才を聞いていて、オチがなく終わってしまったら笑えない。笑いを求めて会場に足を運んだ観客は、とても不満を覚えるはずだ。
だから「わからない」と問題だけ口にして解決策を言わないマネジャーに、社長が強い不満を覚えるのは当然だ。
能力が高いのに、そのポテンシャルを十分に発揮できないマネジャーはしっかり話し切るクセをつけよう。「話にオチをつける」ことを意識するだけでいい。