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会期延長と採決を強行して自滅した岸政権と重なる政治状況

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(155)

水無月某日

通常国会の会期末まで残り10日となった。国会は労働者派遣法改正案を巡る与野党対立で不正常の状態にある。民主党と共産党が審議を欠席する中、与党は来週にも採決の構えを見せているが、採決が強行されればすべての法案審議に影響が出る。

安倍総理が5月に米国議会で約束した安保関連法案の「夏までの成立」には会期延長を必要とするが、しかし会期が延長されたからと言って法案がすんなり成立する訳ではない。無論、大量議席を持つ与党が成立させる事は数の上では可能である。しかし現在の国会審議を見る限り、法案は意味不明だらけで到底国民の納得は得られない。

国民の納得を得られないまま米国議会との約束を優先すれば、岸信介が退陣させられた60年安保国会と似た政治状況が現出する。岸信介は安保条約の内容に反対する国民の声で退陣させられたのではない、強引な会期延長と強行採決によって国民の怒りに火をつけ、国民の怒りが反米になる事を怖れたアメリカによって首を切られたのである。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:11月24日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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