会期延長と採決を強行して自滅した岸政権と重なる政治状況
フーテン老人世直し録(155)
水無月某日
通常国会の会期末まで残り10日となった。国会は労働者派遣法改正案を巡る与野党対立で不正常の状態にある。民主党と共産党が審議を欠席する中、与党は来週にも採決の構えを見せているが、採決が強行されればすべての法案審議に影響が出る。
安倍総理が5月に米国議会で約束した安保関連法案の「夏までの成立」には会期延長を必要とするが、しかし会期が延長されたからと言って法案がすんなり成立する訳ではない。無論、大量議席を持つ与党が成立させる事は数の上では可能である。しかし現在の国会審議を見る限り、法案は意味不明だらけで到底国民の納得は得られない。
国民の納得を得られないまま米国議会との約束を優先すれば、岸信介が退陣させられた60年安保国会と似た政治状況が現出する。岸信介は安保条約の内容に反対する国民の声で退陣させられたのではない、強引な会期延長と強行採決によって国民の怒りに火をつけ、国民の怒りが反米になる事を怖れたアメリカによって首を切られたのである。
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