なぜ頭が悪い上司は若い女性部下にマウントをとるのか?
頭がよい上司は、思考がまっすぐだ。素直に相手と向き合う。性別や年齢、学歴、国籍など関係がない。しかし頭が悪い上司は、思考が歪んでいる。しかも意識的ではなく、無意識のうちにそうなっているから自覚がない。だからよけいにマズいのだ。
今回は、なぜ頭が悪い上司は若い女性部下にマウントをとるのかについて、解説する。前述した通り意識せず、知らず知らずのうちに「上から目線」になっていることがあるので、すべての上司に読んでもらいたい。
■頭が悪い上司がかかりやすい3種類の認知バイアス
そもそも思考が歪んでいるとは、どういうことか? 認知バイアス(思考の偏り)が強くかかっているといえばわかりやすいだろう。過去の成功体験が多い上司ほど「成功の呪縛」にかかり、バイアスが強くなる傾向がある。
ベテラン上司がかかりやすい代表的な認知バイアスは以下の3つだ。
(1)現状維持バイアス
(2)確証バイアス
(3)正常性バイアス
一つ一つ解説していこう。
(1)現状維持バイアス
現状維持バイアスとは、新しい変化を嫌い、今の状態ややり方を続けようとする認知バイアスのこと。たとえば職場に新しいIT技術を導入しようとする提案があるのに、多くのメンバーが「今のやり方でうまくいっているから変える必要はない」と考えて、変更を避ける等が挙げられる。
(2)確証バイアス
確証バイアスは、昔から信じていたことや、自分にとって都合のいい情報だけに焦点を合わせ、その反対の情報は無視しようとする認知バイアスだ。たとえばあるマーケティング戦略が成功すると信じているマネジャーが、成功した過去事例ばかりに注目して、失敗した事例や批判的なフィードバックを無視すること等が挙げられる。
(3)正常性バイアス
正常性バイアスとは、たとえ危機的な状況でも何も悪いことは起こらないと決めつけ、適切な対策をしようとしない認知バイアスのことだ。業績が下降しているにもかかわらず「うちの業界は大丈夫」「円安さえ解消されれば」等と考えて必要な予防措置を講じないこと等が挙げられる。
若い女性部下にマウントをとりたがる上司は、強い認知バイアスにかかっている。
「経験の浅い若者には何もわかっていない。昔からそうだ」
「女性は戦力にならない。隣の課のAさんもそうだし、あの部署にいたBさんもそうだった」
「私の発言が不適切だって? モラハラ? そんな大袈裟な。これぐらい大丈夫でしょ」
冒頭に書いた通り、思考がまっすぐな上司であれば、このような認知バイアスはかからない。いっぽう思考が歪んでいる上司は感度が鈍いので、自覚が足りない。周りに指摘する者がいなければ、どんどんエスカレートしていく。
先入観、思い込みが激しくなり、不適切な発言や行動が止まらなくなる。
■「メタ思考トレーニング」に励もう!
このような認知バイアスをはずすためには、「メタ思考」を身につけるべきだ。
マウントをとる人は「少し上」から相手を眺める。しかし「メタ思考」が鍛えられている人は、「かなり上」から相手と接する。「メタ」とは「超越した」とか「高次の」という意味だからだ。
かなり上から物事を俯瞰することで、いろいろな認知バイアスを外すことができる。相手の立場に立って物事を考えられるようになるのだ。
「メタ思考」を鍛えることで、思考を柔軟にできる。発想力や共感力もアップできる。時代がどんどん変化しているのだから、ベテラン上司ほど「メタ思考トレーニング」が必要だ。
<参考記事>