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レヴァンドフスキの低パフォーマンスを分析。CFの負担増、ウィングのタスク変化、プレッシングの代償。

森田泰史スポーツライター
ボールをコントロールするレヴァンドフスキ(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

セカンドシーズンには、気をつけなければいけない。

昨年夏に大型補強を敢行したバルセロナだが、なかでも「目玉」として注目されたのがロベルト・レヴァンドフスキだ。バルセロナは移籍金4500万ユーロ(約71億円)をバイエルン・ミュンヘンに支払い、当時33歳だったストライカーの獲得を決めた。

■大型補強の目玉

レヴァンドフスキは昨季、リーガエスパニョーラで34試合に出場して23得点をマーク。バルセロナのリーガ制覇に大きく貢献した。

だが今季はリーガ4試合で2得点に留まっている。レヴァンドフスキが低調なパフォーマンスに終始しているのは明らかだ。

多くのタスクをこなしているレヴァンドフスキ
多くのタスクをこなしているレヴァンドフスキ写真:ロイター/アフロ

「僕たちはバルサだ。勝利だけではなく、攻撃的な良いサッカーを見せることが期待されている。最近の試合では、それを見せられていない。チャンスを多く作るために、働き続けている」とはレヴァンドフスキの弁だ。

「交代選手が入ってきた時などは彼らが前に行こうとするので、多くのチャンスを作れるようになる。だけど、時々、攻撃の際に人数をかけないときがある。そうすると、僕に対するサポートは少なくなる。僕はチームにとってのベストな解決策を常に探している」

■シャビのパズルとCFの役割

シャビ・エルナンデス監督は、2023−24シーズンに向け、新たに「パズル」を組む必要があった。

プレシーズンの段階で、シャビ監督はアメリカツアーに32名を帯同させた。複数のカンテラーノ、またセルジーニョ・デスト、クレメント・ラングレ、フリアン・アラウホらといった選手の実力を見定める必要性が生じてはいた。ただ、それにしても、多い選手数である。

最終的には、そのうち、23名がシャビ監督の「構想内」となっている。ある者は移籍を志願し、またある者はサラリーキャップの関係で放出されることが避けられなかった。

PSGに移籍したデンベレ
PSGに移籍したデンベレ写真:なかしまだいすけ/アフロ

そういったシチュエーションに置かれながら、シャビ監督はパズルを組み立てていく。

だが、痛手になったのはウスマン・デンベレの退団だ。移籍金5000万ユーロ(約79億円)のオファーが届き、パリ・サンジェルマン移籍が決まった。

リーガ開幕直後、シャビ監督は信頼していたウィンガーを失った。

デンベレの移籍は象徴的だった。それはシャビのサッカーのクオリティ低下、またレヴァンドフスキの低調に繋がっていく。

■指揮官のCF像

そもそも、シャビ監督の求めるチームスタイルにおいて、CFの選手の負担は大きい。

メンフィス・デパイ、ピエール・エメリク・オーバメヤン、フェラン・ジュグラ、さらにアンス・ファティやフェラン・トーレスのポイント起用を含めれば、本当に多くの選手が試されてきたが、指揮官を納得させるには至らなかった。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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