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民進党に見るべきものがなくなり自民党内権力闘争がその分注目される

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(250)

長月某日

8月8日、天皇はビデオメッセージで「常に国民に寄り添い国民の安寧と幸せを祈る象徴天皇制の安定的な継続を願い、そのために生前退位する」考えを国民に示された。お言葉から退位の時期を平成30年と考えていることが読み取れた。

その平成30年に安倍総理は2期6年という自民党総裁の任期を全うする。しかしこちらは任期をその先にまで延長することを望んでおり、そのためかつて総裁任期延長を実現しようと画策した中曽根元総理を真似て衆参ダブル選挙に強いこだわりを見せていた。

しかし中曽根時代の自民党と現在の自民党には天と地ほどの差がある。かつての自民党は単独で政権担当できるだけの国民の支持を有していたが、現在の自民党にそれだけの力はない。

メディアが「一強他弱」と表現するので勘違いする人もいるが、自民党はもはや「一強」ではない。公明党の選挙協力がなければ衆議院選挙で過半数を維持することは難しく、政権を明け渡さざるを得なくなる。つまり「一強」は自公合わせての話である。

その公明党にとって最も重要なのは東京都議会選挙で、次に大事なのが参議院選挙である。この二つの選挙と重なる時期に衆議院選挙を行うことは極力避けたい。従って安倍総理がやりたかった衆参ダブル選挙は公明党の反対で見送られることになった。

公明党の意向をくむ菅官房長官や二階総務会長は安倍総理に衆参ダブル選挙を断念させるよう動き、とりわけ二階総務会長は「選挙をやらなくとも自民党の党則を変えて任期延長を可能にする」考えを表明して安倍総理のこだわりを解きほぐした。

それが参議院選挙後に二階氏を幹事長に起用した安倍総理の最大の理由だろうとフーテンは思う。総務会長から政界ナンバー2の幹事長の座に上り詰めた二階氏の念頭にあるのはかつて「政界のドン」と呼ばれた金丸信氏である。幹事長就任後すぐに金丸氏の墓参りをしたことからもそれが伺える。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:11月24日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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