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苦戦のメカニズムとは。最近の2大番狂わせ、横浜FM対磐田、広島対甲府から森保Jが学ぶこと

杉山茂樹スポーツライター
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 サンフレッチェ広島がヴァンフォーレ甲府に延長PKで敗れた天皇杯決勝。そして、首位を行く横浜F・マリノスが最下位のジュビロ磐田に0-1で敗れたJリーグ32節の一戦と、ここ最近、国内では大きな番狂わせが相次いで発生した。

 サッカーは結果に運が3割影響を及ぼすと言われるが、広島と横浜FMは運に恵まれなかったと言うより、攻めあぐんだ印象が勝る。惜しいチャンスはそれなりにあったが、いわゆる決定的なチャンスと言えるのは広島に与えられたPKぐらいだろう。ゴール前で、どフリーを何本も外したわけではない。一言でいえば、5バックで守りを固める相手を崩しきることができなかったとなる。

 引いて守る相手をどう崩すかをテーマに掲げながら戦ったにもかかわらず、それが実行できなかった。具体的に言えば、サイドから崩すという定石を追求することができなかった。徹底されていなかったと言ってもいい。

 広島と横浜FM。本来サイド攻撃が得意なチームは横浜FMだ。4-3-3の布陣通り、Jリーグの中で両ウイングの存在感が最も際立つサッカーをする。磐田戦で先発を飾った仲川輝人(左)、水沼宏太(右)も、攻撃の軸になっていた。しかし引いた相手は崩れなかった。攻撃が浅かったからだ。

 焦りからか0-0の時間が長くなると、中央に折り返すタイミングが早くなった。ゴールラインのかなり手前で内側に折れていった。45度。30度を超えることはほとんどなかった。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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