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日本サッカーの発展を妨げるベストメンバー至上主義と補欠文化

杉山茂樹スポーツライター
(写真:岸本勉/PICSPORT)

 インドネシア戦(15日)、中国戦(19日)に臨む日本代表。メンバーから漏れたのは冨安健洋、伊藤洋輝、上田綺世など怪我人のみ。新顔はもちろんゼロである。相手は全6チームで争われるW杯アジア3次予選C組の5位、6位チームだ。日本と2位以下との差も勝ち点5開いている。予選落ちの可能性は限りなくゼロであるにもかかわらず、森保一監督は例によってオールスターキャスト、ベストメンバーを招集した。

 しかしこの森保采配に疑問を抱く人は少ない。帰化した選手が多いインドネシアはいつになく強そうだなどと、メディアも危機感をしきりに煽ろうとする。日本のスタンダードを見る気がする。

 ベストメンバー至上主義である。筆者も海外取材を通して、「へー」とさせられる真反対の価値観をカルチャーショックとして味わっていなければ、あるいは違和感を抱いていない可能性がある。

 1990年代半ば、欧州で親善試合を観戦すれば、両軍監督は後半に入るや交代カードを次々と切った。その手際のよいベンチワークになにより感激させられた。親善試合を親善試合と割り切り、文字通りテストマッチと位置づける。当時の日本に全くない感覚であったことは言うまでもない。

 一方、1995年にフランスW杯出場を目指し、代表監督の座に就いた加茂周監督は「代表チームは常にベストメンバーで戦うもんや」を口癖にしていた。現地でカルチャーショックを受けるのは当然だった。

 1994−95、95-96シーズンに2シーズン連続CL決勝に進出したアヤックスの監督、ルイス・ファンハールは加えて、ベンチに下げる選手とは異なる選手を送り込む戦術的交代を次々と決めた。メンバー交代枠がまだ2人だった時代に、である。交代枠が3人になったのは、

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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