木村拓哉氏の大ヒット映画「マスカレード・ホテル」は、あの美食ホテルが舞台?
「マスカレード・ホテル」が大ヒット
直木賞作家である東野圭吾氏の「マスカレード・ホテル」が原作となり、木村拓哉氏と長澤まさみ氏が出演した同名の映画作品が、大人気を博しています。
映画「マスカレード・ホテル」は公開初日から観客動員数が非常に好調であり、一週間で100万人が鑑賞し、映画観客動員ランキングでも初登場でトップを獲得したということです。
ロイヤルパークホテルをイメージ
「マスカレード・ホテル」の舞台となっているのはホテル・コルテシア東京。ホテル・コルテシア東京を中心にして物語は展開していきます。
ホテル・コルテシア東京は実在しませんが、原作の小説「マスカレード・ホテル」および次作「マスカレード・イブ」、最新の「マスカレード・ナイト」では、取材協力としてロイヤルパークホテルがクレジットされています。
後ほど詳しく検証してみますが、作中に描かれているロビーの吹き抜けの様子や料飲施設の位置などを鑑みると、実際のロイヤルパークホテルと合致しているようです。
ただ、小説「マスカレード・イブ」ではオープンしたばかりのホテル・コルテシア大阪が登場しますが、大阪にロイヤルパークホテルズのホテルは存在しません。しかし、2019年6月7日にザ ロイヤルパーク キャンバス 大阪北浜が、2020年春に大阪の旗艦ホテルとしてザ ロイヤルパークホテル大阪御堂筋がオープンする予定です。
では実際のところ、ロイヤルパークホテルは「マスカレード・ホテル」と、どのような関わりをもったのでしょうか。
広報の真野碧氏に尋ねると「ホテルを舞台にした小説を描く構想段階に、東野先生から取材依頼をいただき、ご協力させていただいた。表舞台はもちろんのこと、ホテル内の裏導線やリネン室といった細部までご案内させていただいた」と答えます。
また、映画「マスカレード・ホテル」では、客室階廊下、宴会場、宴会場前廊下、衣裳室、裏導線のシーンがロイヤルパークホテルで撮影されており、他のシーンもロイヤルパークホテルが参考にされているということです。
小説との検証
ホテル・コルシア東京はロイヤルパークホテルをモデルにしていますが、小説マスカレードシリーズの記述を確認してみると、それは明らかとなります。
「マスカレード・ホテル」(集英社文庫)
- P41 ここの日本料理店で得意先と会う約束になっている
日本料理「源氏香」が5階にある
- P88 一部の飲食店を除いてホテル内がほぼ全館禁煙
地下1階メインバー「ロイヤルスコッツ」は喫煙可能
- P124 このホテルにはとてもおいしいフレンチレストランがある/P126 フレンチレストランは最上階にある
最上階20階「パラッツオ」が2012年9月にフレンチからレストラン&バンケットへリニューアルオープン。小説執筆時にはまだフレンチが存在していた
- P156 コルテシア東京のブライダルコーナーは二階にある
2階にブライダルサロンがある
- P39 空港と行き来するリムジンバスのターミナルがすぐ近くにあるせいか、外国人客の姿も見られた
水天宮駅から東京シティエアターミナル T-CATに直結
- P300 このホテルの地階は、地下鉄の駅と直結している
水天宮駅から地下道でホテルへ直結
- P310 二階のフロアは中央部が吹き抜けになっていて、一階のロビーを見下ろすことができる。ティーラウンジは照明が絞られ、コーヒーよりもカクテルがふさわしい雰囲気になっていた
ロビーは吹き抜けとなっており、1階にはカクテルも提供しているロビーラウンジ「フォンテーヌ」がある
- P377 地下のメインバーは準備中だった/P412 ホテルの地下一階にあるバーにいた
地下1階にはメインバー「ロイヤルスコッツ」がある
- P440 最上階の鉄板焼きの店を七時から予約した/高級レストランの鉄板焼き
最上階20階に鉄板焼「すみだ」がある
「マスカレード・イブ」(集英社文庫)
- P137 そこのコーヒーショップ/オープンフロアのラウンジを指した
1階にロビーラウンジ「フォンテーヌ」があり、同じく1階シェフズダイニング「シンフォニー」でも喫茶利用可能
このように照らし合わせてみると、ホテル・コルテシア東京はまさしく、ロイヤルパークホテルそのものであるといってもよいでしょう。
原作のファンであり、ロイヤルパークホテルを知る私にとっても、全く違和感がありません。
ホテル・コルテシア東京をイメージした商品
ロイヤルパークホテルは「マスカレード・ホテル」と非常に関係が深いだけあり、劇場公開されたことを記念し、2019年1月10日から2月28日にかけて、ホテル・コルテシア東京をイメージした商品を販売しています。
ロビーラウンジ「フォンテーヌ」で提供されているのは、真っ赤なマスカレードとバラ、ホテル・コルテシア東京のロゴマークをあしらった「マスカレードショコラ」。カラメリゼした軽やかなヘーゼルナッツプラリネムースの中に、華やかな香りをまとうバラとイチゴのジュレ、やわらかで口当たりのよいチョコレートガナッシュが閉じ込められています。
真っ白な生クリームにホテル・コルテシア東京のロゴマークが浮かび上がるホットノンアルコールカクテル「コルテシア」は、ロビーラウンジ「フォンテーヌ」およびメインバー「ロイヤルスコッツ」で提供されています。セイロンティーをベースにしており、ほのかな甘い香りが、心をほっと和ませるでしょう。
コラボレーションの経緯を尋ねると、真野氏は「小説のモデルになっているので、映像化の段階からコラボレーションの企画が持ち上がっていた。ホテル側でコラボレーションしたいことをリストアップし、商品を開発してご提供に至った」と、当初からの企画案であったと答えます。
小説および映画のファンにとって喜ばしいのはもちろん、ロイヤルパークホテルのロイヤルカスタマーにとっても新しい切り口の商品なので楽しめるのではないでしょうか。
直営の料飲施設
作中でもレストランが時折話題に上りますが、ホテル・コルテシア東京のモデルとなったロイヤルパークホテルには、どのような料飲施設があるのでしょう。
直営店をリストアップします。
料飲施設(直営店)
- 20F/鉄板焼すみだ
- 20F/レストラン&バンケット パラッツオ
- 5F/日本料理 源氏香/天婦羅 松風
- 1F/シェフズダイニング シンフォニー
- 1F/ロビーラウンジ フォンテーヌ
- 1F/スイーツ&ベーカリー 粋
- B1/中国料理 桂花苑
- B1/メインバー ロイヤルスコッツ
和洋中のレストランが揃っており、地下1階の隠れ家的な場所から、20階という高層階フロアまで、様々なロケーションに料飲施設があります。
直営で9つの業態を運営しているのは、ホテルの中でも多い方です。ロイヤルパークホテルが食に力を入れていることが分かることでしょう。
気軽に訪れることができるラウンジ、および、手土産や自分のご褒美に最適なショップがあるので、ホテルのレストランには普段あまり訪れないという方でも、ロイヤルパークホテルの料飲施設には何かしら縁があるのではないかと思います。
注目レストラン
充実している料飲施設の中でも、特に紹介しておきたいレストラン&バーを紹介しましょう。
鉄板焼「すみだ」は、<鉄板焼の魅力を引き出す、日本の3つの味覚とは?>や<和牛オリンピックで日本一になった黒毛和牛をいえますか?>でも紹介したように、20階からの圧倒的な眺望を背景にし、創造力溢れる料理長の安冨正巳氏による鉄板焼が楽しめます。
様々な黒毛和牛を使い、まだあまり名を馳せていない黒毛和牛を発掘することによってリピーターを飽きさせません。土日祝日には、非常に希少、かつ、どこよりも先んじて始めた鉄板焼のランチブッフェを行っており、より多くゲストに鉄板焼の魅力を伝えています。
中国料理「桂花苑」は料理長である有本大作氏が腕をふるう中国料理店です。<フカヒレは何のサメのどの部位か? フカヒレの豪華フルコースと現状>でも触れたように、今では提供するレストランが少なくなったフカヒレにも力を入れています。
多彩な飲茶や夏場に提供される涼麺(冷やし中華、冷麺)も人気を博しており、接待から女子会、友人との食事やデートまでと幅広い用途で利用できるでしょう。
シェフズダイニング「シンフォニー」は2017年3月1日にリニューアルオープンしたダイニング。土日祝日に行われているランチとディナーのブッフェは、臨場感があって非常にお得です。
ディナーコースはプリフィックスとなっており、メインディッシュやデザートを数十もあるアラカルトメニューの中から選ぶことができるので、非常に使い易く、選ぶ楽しみがあるでしょう。コース料理はもちろん、アラカルトも充実しているので、いつ訪れても好みの洋食を食べられることは間違いありません。
ロビーラウンジ「フォンテーヌ」はロビーから続くラウンジであり、バーカウンターも併設されています。かき氷とケーキのハイブリットスイーツである「スノードームケーキ」を考案したり、人気の女性誌とコラボレーションしたスイーツを提供したりと、様々な試みを行っています。
時間帯によってムードが変わり、夜には日本橋をイメージしたカクテルなど、様々なアルコール飲料が提供されているのも興味深いところです。
このように、ロイヤルパークホテルの飲食店はどれも非常に特徴的であり、目を引くプロモーションも行われていることから、メディアにもよく登場しています。
30周年を迎えるロイヤルパークホテル
ロイヤルパークホテルは、ロイヤルパークホテルズの旗艦ホテルであり、水天宮の中心地に構えるホテルです。1989年6月1日に開業し、「ロイパ」の愛称で親しまれ、今年2019年で30周年を迎えます。
2018年6月1日から2019年6月30日までを開業30周年記念期間とし、「30」という数字にまつわるイベントや感謝の気持ちを込めた宿泊プランやレストランプランを用意したり、「アニバーサリーアンバサダー」13名を同ホテルのスタッフから選出したりし、アニバーサリーイヤーを盛り上げるための魅力的なプロモーションを行っているのです。
アニバーサリーアンバサダーの役目について真野氏は「新商品のプロモーションを主として活動している。昨夏には日本橋の橋洗いイベントや、水天宮さまへの七夕短冊奉納祈祷、雑誌社訪問など幅広く活動し、その様子を弊社のSNSに投稿している」と説明します。
ホテルの魅力がより多くの人に知られるきっかけとなる
30周年という節目にモデルとなった映画が大ヒットし、「ロスト・イン・トランスレーション」以来となる映画の舞台となった聖地ホテルとして、ロイヤルパークホテルがさらに躍進することは間違いないでしょう。
マスカレードシリーズを通して主人公のホテリエが「ゲストの仮面を決して剥がしてはならない」と幾度となく述べているように、ホテルは人々が日常から解放されて、いっときの非日常を体験できる、貴重な空間です。
ロイヤルパークホテルが注目されることによって、より多くの人にホテルの素晴らしさが伝えられ、さらには、圧倒的な空間と質の高いサービス、安定した味と豊富な料理の品揃えを誇るホテル料飲施設の魅力も、改めて知られることを期待しています。