今月 ”韓国で興味を持たれた日本” は何だった?上位に「地震」「GDP」「サッカー」 意外なアレも…
いま、韓国で関心を持たれている”日本”は何か。
3月のウェブ上の検索ワードで最も多かったのは「地震」だった。しかし上位ランキングを細かく読み解いていくと、別の傾向も見える。
韓国国内で最大シェア(58.1)%を誇るポータルサイト「NAVER」での3月1日から31日午前までの検索結果だ。
「日本+何が検索されている?」
いわゆる「関連ワード」だ。このビッグデータを提供する「BLACK KIWI」がはじき出した統計。
同サイトは韓国内で検索関連ワード分析ツールとして知られており、国内最大の経済紙「毎日経済」や、「朝鮮日報」系のメディアでもデータを引用されている。
また同サイトを運営するクォン・ギウン氏とナ・ヨンギュン氏(共同代表)は、メディアも度々「トレンド分析研究家」としてコメントを求められているナンバーワンのツールだ。
1位の「地震」 単なる心配だけではなく…
3月の1ヶ月間のNAVER上での「日本」関連キーワードの検索量ランキング結果は以下の通りだった。
■2022年3月に韓国で”「日本」+@”どんなキーワードが検索されたのか?
- 地震/239,100(検索数、以下)
- 旅行/200,500
- 入国/143,900
- 豪州/125,400
- ベトナム/84,400
- サッカー/27,820
- 野球/21,820
- GDP/13,120
- GDP順位/7,880
- 就職/7,230
- 温泉/5,190
- 航空/5,170
- 東京/4,250
- 旅館/3,570
- ホテル/1,790
- 宿/890
- チケット/820
- 医大/530
- 路線/350
- キャンプ/340
まずは1位の「地震」。これは3月16日深夜に発生した大規模な地震について検索が多く行われたということだ。
心配(日本に対する心配、自国への影響のそれ)、原発との関連などが関心を持たれるなか、「日本 地震」に続くキーワードとして最多の検索数だったのが「ブリーフィング」だ。
これは「記者会見」のことで、昨年10月8日の東京都足立区・埼玉南部での震度5強の地震発生時の気象庁の会見を「イジる」ものだ。
紙の資料をモニターに映し出し、別のスタッフが手でめくったものをプレゼンターが指示棒で差しながら状況を説明する。これが「ついに日本がデジタル化」として、複数のネット掲示板で話題になった。これが今回の地震でもぶり返されたのだった。
【参考記事】「ますます財布がいらなくなる〜」 韓国 スマホ内に
【参考記事】余計なお世話? 韓国メディアが日本の衆院選投票方式をチクリ 「この電子投票の時代に鉛筆で…」 筆者による
【参考記事】韓国メディアが結構しつこく報じる「日本のFAX異常愛」イジり うるさいよ、という話なのか? 筆者による
サッカー、GDPはなぜ話題に?
4位から7位は、サッカー関連の話題だった。
豪州/125,400
ベトナム/84,400
サッカー/27,820
3月24日に行われたカタールW杯オーストラリア-日本戦について「中継を韓国内でどうやって見るのか」「結果はどうなったのか」という点が関心を持たれた。韓国が一足先に2月1日に本大会出場を決めたなか、日本は引き分け以上で日本のW杯本大会出場が決まるゲームだった。
【参考記事】韓国 早々とW杯出場決定 10ヶ月前の「日本戦0-3惨敗」からどう立ち直ったのか 筆者による
韓国では元々、日本よりもアジアサッカー全般への関心が高い。筆者は97年フランスW杯アジア予選時にソウルで暮らしていたが、このときから実に中東勢を含めたアジアの別国の試合の話が実に熱心に話されていた。
また「ベトナム」もサッカー関連の話題だ。29日に埼玉で行われた同予選最終節日本-ベトナム戦についての話題だ。これはベトナム代表を率いたのが自国人パク・ハンソ監督だったこともあり、話題となった。まあ「日本とまさかの引き分け」という結果もセンセーショナルだったのだろうが。
【参考記事】「通訳なしでどうやって試合を?」「日本は厳しすぎ」 あす日本戦 ベトナム代表パク・ハンソ監督会見全文 筆者による
8位と9位には「GDP」関連の話題が入った。
GDP/13,120
GDP順位/7,880
「韓国のGDPが日本のそれを上回った」という話だ。統計の解釈は様々なようだが、ここ半年の韓国では非常に好まれる話題だ。3月3日と8日にぐっと検索量がアップしている。大手メディアが関連記事を掲載した影響と思われる。
「日本経済が崩れない理由」(3日、東亜日報)
「”韓国に逆転された日本、韓国についていってこそ未来がある” 米専門家の助言」(8日、ソウル新聞)
前者は同紙の日本特派員によるもので、いいね!などのリアクションが588入った。いっぽう後者は1505。勝っているのか否か。もちろん勝っていてほしい。そういった心情がうかがえる。
結局スゴい影のキーワードは「NCT」
いっぽう、このデータで特筆すべきは「旅行関連」がかなり多くランク入りしているという点だ。2位~3位、11位~17位、19~20位、じつに11ワードも入った。
旅行/200,500
入国/143,900
温泉/5,190
航空/5,170
東京/4,250
旅館/3,570
ホテル/1,790
宿/890
チケット/820
路線/350
キャンプ/340
はっきり言って「実質1位」だ。上記関連キーワードのうち「温泉」以外は明確な理由があると思われる。
サイト上の”検索数”ではなく”言及数”のデータを公開している韓国の別のビックデータサイト「SomeTrend」に答えがあった。3月のなかで「日本」の検索数が一気に伸びたのが「第4週」。
何があったのか。
24日にK-POPグループ「NCT127」のスケジュール発表があった。
「5月に日本でドームツアー」
NCT127、名古屋・東京・大阪でドームツアー開催へ(朝鮮日報/日本語)
2016年に活動を開始した10人組のNCT127。「活動グループ、メンバー数の制限がない新たな概念をもった、次世代グローバルグループ」であるNCTの派生グループの一つだ。NCT127には日本・韓国・中国・カナダ・アメリカ出身のメンバーが在籍する。NCTとは「Neo Culture Technology(ネオカルチャーテクノロジー)」の略で127はソウルの経度。
この日本ツアーに向けて、Twitter上では韓国のファンによる「5月、名古屋上陸~」「日本旅行でグッズ買いたい~」といった書き込みが見られた。
つまりこの時どうやって日本に行くのか。はたまた行けるのか。入国規制や宿泊施設はどうなっているのか。こういった点を調べたのではないか。
その他、27日にはSNS上でヤマがあった。女性インフルエンサーがツイッター上で「次に日本に行ったら、原宿の制服ショップ “CONOMI” に行ってみて~」とつぶやき。これが9689リツート(31日現在)されるなど”バズった”。この影響でポータルサイト「NAVER」でも検索数が増えたものと思われる。
実際に今回主な調査ツールとして使用した「BLACK KIWI」にて「日本・旅行」の検索傾向を調べてみたところ…年代別では「20代」が47%で、男女別では「女性」が54.0%。「圧倒している」というところだ。
韓国では3月に大統領選があった。日本海へ北朝鮮による最新鋭ミサイルの発射もあった。しかしこれが大きな関心を集めたのではなかった。若い女性が「日本に行きたい」。これが最も強いパワーなのだった。