安定感バツグン!歩くよろこびを取り戻そう【理学療法士が馬蹄型歩行器をご紹介します】
田舎の民間病院で理学療法士として勤務しているぴぴです。
みなさまにひとつでもためになるような知識や情報をお届けしていきたいと思います。
今回のテーマは馬蹄型歩行器
前回の左右ハンドル型歩行車に続き、今回は馬蹄型(ばていがたと読むよ)歩行器について解説していきます。
馬蹄型歩行器とは
馬蹄型歩行器は、腕を乗せることのできるアームレストと呼ばれる部分が「馬のひづめ=馬蹄」のかたちをしている歩行器です。
肘から先を使って体重を歩行器に預けることができるため、足が弱くなっていたり、足に体重を乗せることがつらい場合でも、馬蹄型歩行器を使用すれば歩けるという方も多いです。
馬蹄型歩行器の特徴
キャスターの特徴
・キャスターは4輪すべてが回転するタイプ
・2つの前輪のみが回転するタイプ
にわかれます。
4輪すべてが回転するタイプは、横向きの移動がスムーズです。
そのため、小回りが効きやすく、狭い場所でも扱いやすいことが特徴です。
その一方で、バランスの崩しやすい方は全方向へ歩行器が動いてしまうと転倒しやすくなります。バランス機能の低下している方は、前輪のみが回転するタイプの歩行器の方が、意図せぬ横向きの移動を抑制することができるため適していると言われています。
アームレストの特徴
馬蹄型歩行器のアームレストは、腕がギリギリ乗せられる程度の幅のものが多いです。そのため、腕の力や身体全体の姿勢を保つ力が弱くなっている方だと、パッドから腕が落ちてしまうことがあります。
アームレストの外側が立ち上がっているタイプのものを選択すると、腕が落ちてしまうことを予防できるので、歩くことに集中できるというメリットがあります。
筆者の働く病院でも、馬蹄型歩行器を使用した歩行訓練をすることがありますが、患者さんひとりひとりの身体状況に合わせた歩行器をご用意することは難しい状況です。
現場ではアームレストに滑り止めを敷いて、腕が落ちないように対応するなどの工夫をすることもあります。
グリップ付き歩行器の特徴
歩行器と身体の位置が離れていると、アームレストに体重をかけたときに歩行器だけが進んでしまうことがあります。
(公益財団法人テクノエイド協会さんの資料がわかりやすかったので、リンクを貼らせていただきます)
下肢の筋力が落ちている方など、歩行が不自由な方が使用されることが多いので、歩行器と身体の位置の均衡が取れていないと転倒する可能性が高くなります。
身体と歩行器を近づけるように言葉でお伝えしてもなかなか伝わらなかったり、無意識のうちに離れてしまうことがあります。
グリップ付きのタイプであれば、視覚的に「グリップを握って使うんだな」とわかるため、歩行器に身体を近づけて歩けるようになります。
現場ではアームレストにカラーテープなどの目印をつけて、掴んでほしい位置を視覚的に伝わるようにする工夫を行うこともあります。
馬蹄型歩行器のメリット/デメリット
メリット
シルバーカーや左右ハンドル型歩行車と違い、前腕全体で体重を支えることができるため、上半身・下半身の筋力が落ちている方でも使用できます。
指が変形している方や、握力が落ちてグリップを握るのが難しい方でも操作できます。
デメリット
歩行器自体のサイズが大きいため、狭い場所では扱いづらいです。病院や施設など、 廊下や居室が広ければ問題ありませんが、ご自宅での使用を検討される場合には、壁や家具にぶつかる可能性があります。
まとめ
馬蹄型歩行器は回復過程の初期に使用され、状況が改善してきたら他の歩行器へ変更していくことが多いです。
リハビリ場面では、理学療法士が中心となって、使用される方の身体状況に応じて適切な歩行器を提案させていただきます。
歩行器の種類が知りたい、一番適している歩行器はどれか、などの疑問にもお答えしますので、身近な理学療法士へ是非お声がけくださいね。