日本だけが世界と異なる戦争観を持って良いものか
フーテン老人世直し録(82)
水無月朔日
国会での安倍総理の答弁を聞いていると、冷戦後に起きた戦争、つまり湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争を全く直視していない。世界の常識とは異なる見方を示している。そして野党もそれを聞き流しているように見える。日本だけが世界と異なる戦争観を持って良いものか、フーテンは極めて不快になる。
安倍総理が湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争に言及するのは、「国連が主導する集団安全保障に日本は参加しない」との方針を説明するくだりである。安倍総理は、集団的自衛権の行使は「自国民を救うため」で、「他国の戦争に参加するものではない」との印象を国民に与えようとして「うそ」が満載の説明になる。
まず日本国民を救うのがアメリカであるかのような「うそ」をつく。アメリカは自国の税金を他国民のために使う事が許される国家ではない。納税者が主権者である「民主主義の軍隊」は納税者の利益を損ねてはならない。それがシビリアン・コントロールである。
アメリカの軍隊はアメリカ国民を救うために存在し、同盟国であろうとも日本人を救うためには存在しない。日本人を救う事がアメリカ国民の利益になると考えられれば、助ける場合もあるが、その優先順位は圧倒的に低い。自国民を救うのは自国の政府である。何のために税金を払っているのか。それが世界の常識である。
ところが安倍総理は、日本政府が日本国民を救出できないという前提で、日本国民を救出するのはアメリカだから「集団的自衛権がないと日本人の命と安全は守れない」という論理を展開した。誠に情けない論理である。集団的自衛権は「日本人の命と安全を守るため」ではなく、「他国が攻撃を受けた場合に戦争する権利である」となぜ堂々と主張できないのかフーテンは不思議である。
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