【実は体温が高い時間の方が効果あり?】暑熱馴化のための朝練後のサウナや入浴は、すぐ入れない時は夕方で
先日の記事で書きましたが、ランニングのような運動後にサウナや入浴を行うことで、暑熱馴化を高めることができます。ですが暑い中走ってきて、すぐにサウナや入浴をできないこともあると思います。30分も1時間も入浴に時間がかかっても、暑熱馴化の効果はあるのでしょうか。文献から考えてみましょう。
ランニング後、入浴が遅れたら?の研究
文献は2019年のオーストラリアからのものです。12人の長距離ランナーに18度の室温のなか40分のトレッドミルでのランニングを行ってもらい、終了後すぐの10分、少し遅れての1時間、そしてランニング効果が消えてしまったかにも思える8時間が経過してから、39度のお風呂に30分入浴して深部体温を調べた研究です。深部体温が上がるほど、暑熱馴化がさらに高まると推察しての研究です。
結果ランニング後10分では入浴前から深部体温が高く、入浴によりさらに体温が上昇しました。一方ランニング後1時間が経過するとほぼランニング前の深部体温まで低下してしまい、入浴してもランニング後10分で入浴した時ほど体温は上昇しませんでした。そしてランニング後8時間経過すると、入浴時には体温が低いものの入浴後は効率よく深部体温が上昇しました。この研究は発汗についても調べていますが、同様の結果となっています。
要はランニング後10分で入浴できれば効果が高いが、ランニング後1時間経過していたら8時間経ってからの方がいいよ!ということです。どうしてこんな結果になったのでしょうか。
運動後は環境温にもよるが、深部体温は速やかに低下する。
運動後の深部体温は環境の温度に大きく左右されます。文献は2013年のアメリカのもので、12人の被検者に対して60分エアロバイクを漕いでもらったあと、湿度40%で異なる気温の環境下で、深部体温がどう変化するかを調べたものです。
結果環境にもよりますが、気温20度程度の普通の環境では1~2時間程度で深部体温は運動前と同程度まで低下してきてしまうのです。前の運動後の入浴の研究では、運動後の入浴まで10分・1時間の場合は気温18度の部屋に、運動後入浴まで8時間の場合は自由行動ののち10分前に気温18度の部屋に移動しました。そのような影響もあるかもしれませんが、少なくともクーラーの効いた部屋で1~2時間過ごしてしまった場合、ランニング後の入浴の効果は相当低下してしまうのではないでしょうか。
ではなぜ8時間経過してからの入浴がよいか
1時間経過してからより、8時間経過してからの入浴の方が深部体温が上昇したのはなぜでしょう。それは冒頭の文献で、体温の日内変動の影響と考察しています。その研究では、実験の開始時間が午前6時から7時30分の体温の低い時間帯に行ったようです。結果運動して8時間後に入浴する場合、午後2時30分から4時に入浴となったようです。
もともと人間の体温は午前中低く、午後高くなります。ランニング後1時間経過して深部体温が低下してから入浴するのであれば、午後の体温が高い時間に入浴した方がよいのではないかということなんです。
まとめ
ランニングのあとサウナや入浴を暑熱馴化として用いる場合、ランニング後なるべく早く行うのがよいのです。涼しい電車に乗って移動してからとか、お風呂にお湯を入れる間涼しいクーラーの部屋で涼んでからなど、体を冷やしたら効果は低下してしまいます。夜のランニングの場合は仕方ないかもしれませんが、朝ランの場合は暑さで疲れたり忙しかった場合、無理せずに夜に帰宅してからのサウナや入浴を組み合わせてもよいかもしれません。