あの注目ホテルのレストランが初めて提供する春メニューとは?
美食のフォーシーズンズホテル東京大手町
フォーシーズンズホテル東京大手町は昨年9月1日に開業したばかりの新しいホテルです。フレンチ、イタリアン、ラウンジ、バーを擁しており、料飲施設が充実しています。
「est(エスト)」は、ミシュランガイドで二つ星を獲得したギヨーム・ブラカヴァル氏がシェフを務める、特に注目されているコンテンポラリーフレンチ。ブラカヴァル氏と共に8年間働いてきたミケーレ・アッバテマルコ氏が、ペストリーシェフを担います。
日本各地の食材を用いて芸術的な一皿に仕上げていることから、早速高い評判を得ていますが、この時季には初めてとなる春メニューが提供されているので、ますます注目です。
なぜならば、春野菜は冬が旬の根菜とは違って芽野菜が多く、その野性味や鮮度を楽しむものだから。ファインダイニングであれば、どのようにして春の食材を調理し、表現するのか、大きな関心が寄せられます。
素材の持ち味を生かした春のコース
4月中旬くらいまで提供されている「est」の春コースは次の通り。シェフのおまかせコースとなるため、料理の内容は食材の入荷状況などによって変わります。
SAISON 16,000円(税・サ別)
・アペタイザーセレクション
・貝類のナージュ 新玉ねぎ
・北海道産の鮮魚 野菜
・鹿肉 コーヒー
・豆腐チーズ シトラス
・絵画『オレンジ』 栗のアイスを添えて
・ミルフィーユ
・終わりに
日本の食材に精通したブラカヴァル氏らしく、素材の持ち味を存分に生かした料理になっています。
ウェルカムカクテル
ウェルカムドリンクとして、シャンパーニュやソフトドリンクが提供されることは多いです。しかし、カクテルを目の前でつくってもらえるフランス料理となると、なかなかありません。
「est」のシグネチャーカクテル「エスト ロワイヤル」は、英国王室御用達のシャンパーニュ「ボランジェ」を用いたカクテルで、グレナデンシロップ、レモンなどをシェイクして、最後にボランジェが注がれます。ほのかな甘味とクリーミーな泡立ちが気分を盛り上げることでしょう。
アペタイザーセレクション
アミューズはシャンパーニュのカクテルとよく合う2種のカナッペ。香りが豊かな石川県産イワシのスモーク、抜群の相性なジャガイモと黒トリュフです。生地のクリスピー感が食欲をかきたてます。
貝類のナージュ 新玉ねぎ
ハマグリ、アサリ、マテガイといった貝類の旨味に溢れており、滋味深いスープに仕上がっています。春の新タマネギのシャキシャキ感も生かされており、ヨモギとタラゴンがよい隠し味。
北海道産の鮮魚 野菜
北海道の本メバルを用いた旬の魚料理です。繊細な味わいを残し、身はふっくらと仕上げられています。周りには石川県能登産の野菜がふんだんに配されています。
鹿肉 コーヒー
鳥取県のホンシュウジカの肉を2週間熟成させ、さらに味わいを深めたメインディッシュ。バターとコーヒーのソースが鹿肉の味を深めています。真ん中には心地よい酸味のヤマブドウのピューレ。
豆腐チーズ シトラス
ブラカヴァル氏のスペシャリテ。京都府の豆乳を用いた自家製豆腐のレアチーズに、今回はキンカンのジャムを加えています。ほのかな酸味や豊かな口溶け感で、新しい感覚の一品です。
絵画『オレンジ』 栗のアイスを添えて
マーク・ロスコの201番と211番の作品からインスピレーションを得たオレンジのデザート。アッバテマルコ氏らしい、とてもアーティスティックなプレゼンテーションです。キンカン、ミカン、グアバ、ヨーグルトのムースにマロンのアイスクリームが合わせられており、爽やかな味わいとなっています。
ミルフィーユ
2つ目のデザートはクラシックなミルフィーユ。バニラクリームにヘーゼルナッツと洋梨が合わせられ、素晴らしい香りが広がります。ザクザクっとしたパイ生地のしっかりとした食感も印象的。
今年注目のホテルレストラン
今回のメニューは野菜や魚介類をふんだんに用いたコースに仕上げていることに加えて、エゾシカに比べればあまり食べる機会のない鳥取県のホンシュウジカが用いられていました。
ブラカヴァル氏が「基本的に何かとても新しいことを行っているわけではない。旬や各地の食材がベースにあり、それをどのように調理していくかを大切にしている」と述べるように、「est」のテーマである日本の食材に対する敬意が表現されています。
オープンしたのが9月1日だったので、昨年のミシュランガイドには間に合いませんでしたが、今年のミシュランガイドでは掲載が期待されます。緊急事態宣言も解除されたので、これまで控えていた、ファインダイニングにも訪れてもらい、非日常的な食事を体験してもらいたいです。